有機栽培とは?実はよく分かっていない「有機」の基本を解説。

最近よく聞く、「有機」という言葉。

「安心できる」、「おいしそう」、そんなイメージの反面で、「少し価格が高い」、「取り扱っているところが少ない」など手が出しにくいという声も。

有機栽培についての基本を知って、有機野菜を購入時の選択肢にしてくださいね。

「有機栽培」とは?

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いま野菜を育てる方法は、大きく3つあります。

1.一般慣行栽培
化学合成農薬や化学肥料などを利用して栽培すること。使用してもよい農薬の種類や回数は法律で定められおり、基準となる慣行レベルは地方公共団体が策定しています。

2.特別栽培
栽培期間中に、化学合成農薬や化学肥料を、一般的な栽培法で育てた同じ作物の50%以下にしたもの。お米や野菜のパッケージの「特別栽培」の表示が目印です。

3.有機栽培

農林水産省HPによると、このように記載されています。

「有機農業の推進に関する法律」による有機農業の定義は以下のとおりです。

    1.  

[1]化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない 
[2]遺伝子組み換え技術を利用しない 
[3]農業生産に由来する環境への負荷をできるだけ低減する 
農業生産の方法を用いて行われる農業です。

 

引用:【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~|農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/,(参照2023-07-31)

ここから、3つの定義をひとつずつ説明していきます。

「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない」

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まず肥料には、大まかに「有機質肥料」と「化学肥料」の2種類があります。

有機質肥料は薬品処理等の加工をしていない自然由来の肥料ですが、化学肥料は工場で薬品処理したりして、使いやすいように加工された肥料です。

つまり、動物のふんや植物を発酵させて、肥料として用いるものが有機質肥料。化学加工しないので、工場から出る二酸化炭素の排出低減にもなっています。

次に農薬。

化学的に合成された「化学合成農薬」のほか、生き物を使った「生物農薬」など、その種類は様々。

除虫菊から抽出したものや、じゃがいものデンプンから作ったものなど、植物由来で有機栽培でも使える農薬もあるんです。

農薬は「農薬取締法」という法律で、その種類や使用上限が定められており、国の考えでは日本で流通している野菜に使われる農薬は安全であるとされています。

ただし、使用後にその危険性が明らかになることも多く、100%安全ですとは言い切れないのも事実です。

例えば、日本で広く使用されている「ネオニコチノイド系農薬」は、その毒性が人の健康やミツバチ、生態系に影響を与えるとして、欧州連合(EU)をはじめとする諸外国では使用の全面禁止や規制強化の動きが進行中。

アイチョイスでもできるだけ使用しない栽培方法を推奨しています。


「遺伝子組み換え技術を利用しない」

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遺伝子組み換え技術といえば、有名なのが「青いバラ」。

バラには青色を作る遺伝子がなかったため、パンジーの青色遺伝子を切り取って、バラの遺伝子に入れ込み、「青いバラ」が誕生しました。

わたしたちが口にする「農産物」でも同様に、必要な遺伝子を切り取って、別の個体に取り込むことが可能です。

いまでは、遺伝子組み換え農産物が、国内外問わず流通するようになりました。でも安全性が気になりますよね。遺伝子組み換え技術の安全性はグレーゾーンの部分がまだあり、「今後も検証が必要」と主張する人が多くいます。

また「長期間食べ続けると子や孫の代まで影響する可能性があるのでは」との懸念も。

それに、遺伝子組み換え農産物が、従来の農産物と交配したら・・・。従来の遺伝子が置き換わってしまい、結果、自然環境の破壊につながりかねません。

日本の遺伝子組み換え表示対象作物はこの9作物。

大豆(枝豆および大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、 パパイヤ、からしなです。

アイチョイスではこれらを原料に使っている食品すべてについて調べ、「不使用」か「主原料不使用」か「不分別」を表示しています。


「農業生産に由来する環境への負担をできるだけ低減する」

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化学肥料は、使いすぎると土壌が劣化してしまうリスクがあるとご存じでしょうか。

有機栽培は、化学肥料を使わないので土壌を守ることができます。また、溶け出した肥料によって川の水が汚れることを防ぐのも可能です。

さらに、化学肥料は工場で作る際、CO2を排出します。それゆえ、生産量が減ればCO2削減にもつながるのです。

ほかにも、先ほどお伝えしたように遺伝子組み換え技術を利用しないので、自然に近い形で農業を行うことができ、生物多様性を守ることにも役立ちます。

有機栽培は「安全で美味しい野菜」をイメージする人が多いと思いますが、それだけではなく「自然の力を生かした環境にやさしい農業」こそが、その特徴なのです。

ここで有機栽培の疑問にお答えします!

日本で有機栽培をしている面積の割合は?

編集部

日本で有機栽培をしているのは、耕地面積に対してどれくらいの割合だと思いますか。

有機栽培(面積)

参考:有機農業をめぐる我が国の現状について|農林水産省 生産局農業環境対策課
有機農業をめぐる我が国の現状について (maff.go.jp)(参照2023-07-31)

実は日本全体の0.3%の農地でしか有機栽培は行われていません。有機先進国のイタリアでは16%と国によってかなり差があるのが現状です。

アメリカや中国は面積で見たら多いのですが、割合で見ると多くはないですね。

なぜ取り組む人が少ないの?

編集部

なぜ取り組む人が少ないと思いますか?

農林水産省が農家さん対象に行ったアンケートでは、有機農業の面積を縮小したい、現状維持と答えた理由として、「栽培管理の手間がかかる」「収穫量が上がらない」等が挙げられたそうです。

このような現状の日本ですが、有機栽培に取り組んでいる農家さんは「よりよい農産物を食べてもらいたい」「生物多様性を守りたい」という熱い想いで取り組んでいます。

参考:農林水産省 大臣官房統計部令和3年度 食料・農林水産業・農山漁村に関する意識・意向調査 有機農業等の取組に関する意識・意向調査結果」,2022.
index-75.pdf (maff.go.jp),(参照2023-07-31)

有機栽培で一番多く栽培されているのは?

編集部

有機栽培で一番多く栽培されている農産物は何だと思いますか?

有機栽培(品目)

参考:農林水産省 大臣官房統計部令和3年度 食料・農林水産業・農山漁村に関する意識・意向調査 有機農業等の取組に関する意識・意向調査結果」,2022.
index-75.pdf (maff.go.jp),(参照2023-07-31)

日本の食文化の中心である米がやはり1位。お米なら、毎日の食事で取りいれやすいと思います。

私たちが良く飲む、「お茶」。
残念ながら、なかなか普及していないのが現状です。

そして「大豆」。
味噌、豆腐、納豆など、日本にとって身近な調味料の原料になっていますが、あまり栽培されていないのです。

有機栽培を応援しよう!

有機栽培を広げていくために、私たちにできることは、まずは「有機栽培について知る」ことだと思います。

アイチョイスでは、今後も有機野菜についての情報を発信していきます。カタログ等で見かけたときには、この話を思い出しながら読んでもらえると嬉しいです。

政府は2050年までに有機農業の取り組み面積を25%にする目標を掲げています。環境にやさしい有機栽培が広がるようわたしたちも応援していきましょう!

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編集担当もえぞー

2022年アイチョイス入協、30代、夫と2人暮らし。
家庭菜園歴8年目で現在、有機栽培に挑戦中です!
前職では農家さんを相手に野菜の栽培指導をしていました。
ナッツは塩茹でした落花生が大好き♪