投稿日2025.7.11
食品添加物のグリセリンとは?メリットとデメリット、安全性や用途について解説
食品添加物としての「グリセリン」。
どのような役割を担っているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
グリセリンには植物由来のものもあれば、化学的に合成されたものも存在します。
本記事では、グリセリンの基本知識から安全性、さらには具体的な用途までわかりやすく解説します。
目次
食品添加物のグリセリンとは

グリセリンは、食品の製造・加工で使用され、各用途には分類できない製造用剤にあたる食品添加物です。
「グリセロール」と言われることもあります。
グリセリンは大きく分けて「植物由来」と「石油由来」に分類され、幅広く活用されています。
食品添加物グリセリンの製造方法と原料

植物由来のグリセリンの原料は、大豆油、パーム油、ヤシ油などです。
これらの油に水やアルコールを加えて化学反応を起こすことで、グリセリンが生成されます。
一方、石油由来の場合は、石油化学製品のプロピレンが主な原料です。
プロピレンを塩素や酸素で加工して塩化アリルやエピクロロヒドリンという中間物質に変え、そこからグリセリンを生成します。
どちらの方法でも、食品添加物として使うには不純物を取り除いて高純度に精製する必要があります。
参考:グリセリン製造技術の変遷,(参照2025-07-11)
植物由来と石油由来の見分け方

食品の原材料表示だけでは、グリセリンが植物由来か石油由来かを見分けることは基本的にできません。
表示には通常「グリセリン」や「グリセロール」としか書かれず、由来までは記載されないのが一般的です。
どうしてもグリセリンの原料を知りたい場合は、製造元や販売元に直接問い合わせる必要があります。
ただし、最近では植物由来のグリセリンの方がコスト面で有利なため、実際に流通している多くのグリセリンは植物性であることが増えています。
グリセリン脂肪酸エステルとの違いについて

グリセリンとよく混同されるのが「グリセリン脂肪酸エステル」。
乳化剤、ガムベース、消泡剤としての目的で使用されます。
こちらはグリセリンと脂肪酸を反応させて製造したものです。
グリセリン脂肪酸エステルは、単体のグリセリンと構造や用途が異なります。
グリセリン脂肪酸エステルが使用されている食品例は以下の通りです。
- 洋菓子
- マーガリン
- アイスクリーム
- チューインガム
- 豆腐
食品添加物のグリセリンの使用目的や用途

グリセリンは、食品の過程で使用され、各用途には分類することができない製造用剤の中の1つです。
では、私たちの生活の中でグリセリンはどのように役立っているのでしょうか。
ここからは、グリセリンの具体的な使い道について説明します。
食品添加物として使われる場合

製造過程でグリセリンを添加することで、パンや焼き菓子などが加工しやすくなり、しっとりと美味しい商品になります。
他にも、チューインガムの軟らかさを保つチューインガム軟化剤として使用されることも。
また、グリセリン脂肪酸エステルとしては、乳化剤や消泡剤などさまざまな用途で用いられます。
化粧品やコスメなどで使われる場合もある

保湿性に優れたグリセリンは、化粧水やクリームといったコスメ製品にも多く含まれています。
肌の水分を保ち、乾燥を防止する働きがあるため、スキンケアにおいて非常に役立つ成分です。
ただし、肌に合わない場合や刺激を感じるときは、使用を控えたり医師に相談することをおすすめします。
医薬品や工業用品にも使用される

坐薬やトローチなど、医薬品の形状維持や溶解速度の調節にグリセリンが使われることも。
工業製品の分野でも、グリセリンはワックスや潤滑油などに活用されます。
滑りを良くし、製品の品質を保持する目的で役立てられているのです。
食品用とはグレードや純度が異なるため、誤って口にしないよう取り扱いには注意を払いましょう。
食品添加物のグリセリンは本当に危険なの?

食品添加物のグリセリンに対して、「体に悪いのではないか」「長期的な影響が心配」という不安を抱える方は少なくありません。
しかし、グリセリンは国際的な安全基準や国内の食品衛生法など、厳格な規制の下で使用されている成分。
ただし、体質によっては合わないケースもあるため、気になる方はかかりつけの医師や専門家に相談してみるのがおすすめです。
食品添加物のグリセリンのメリットとデメリット

食品添加物のグリセリンは、その便利さから多くの食品や製品に使われていますが、一方で課題も存在します。
以下では、メリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
食品添加物のグリセリンのメリット

食品添加物のグリセリンには、以下のようなメリットがあります。
- 保湿効果
- 口当たりの向上
- 汎用性の高さ
グリセリンを加えることで食品のしっとり感が持続し、乾燥を防ぐ役割があります。
やわらかな感触を与える効果があるので、菓子類などで食感が向上。
食品添加物以外にも、化粧品や工業製品など、さまざまな分野で活躍しています。
食品添加物のグリセリンのデメリット

- 過剰摂取による健康への影響
- アレルギーによるトラブル
国際的な安全基準や国内の規制に準拠した量で使用すれば基本的には安全です。
ただし、高濃度のグリセリンを過度に摂取すると、下痢や吐き気の消化器系の不調を引き起こす可能性があるなど健康面での懸念があります。
また、アレルギー体質や敏感肌の場合、肌荒れや胃腸の不調を訴えるケースもあるので注意が必要です。
参考:グリセリン|環境省,(参照2025-07-11)
食品添加物のグリセリンが使われている食品一覧

グリセリンはさまざまな食品に使用されています。以下はその一例です。
グリセリンは以下のような食品で使用されることがあります。
- 飴、ガム、ゼリー:しっとり感と適度な甘味をキープ。
- てんぷら、油:吸湿性や粘度調整の面で役立ちます。
食品添加物のグリセリンについてよくある質問

グリセリンは保湿や甘味の付与など便利な特徴を持つ一方、「本当に安心なの?」と不安を抱える声も。
ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
グリセリンは食品添加物として安全ですか?

参考:欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物としてのグリセロール(E 422)の再評価に関する科学的意見書を公表 (1/3)|食品安全委員会,(参照2025-07-11)
グリセリンは食べても大丈夫?
グリセリンは食品添加物として広く使用されており、ADI(※)は設定されていません。
しかし、大量摂取は下痢を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。

※ADIとは、Acceptable Daily Intake(許容一日摂取量)の略で、食品添加物や農薬、化学物質などについて、人が毎日摂取しても健康に悪影響がないとされる量
グリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として表示できますか?
「乳化剤」として表示される場合が多いですが、製品によっては「グリセリン脂肪酸エステル」など具体的な表記が行われることも。
原材料欄をよく確認すると、意外なところで使われているのがわかるかもしれません。

食品添加物や化粧品などに使用されるグリセリンを正しく理解し、安心な食生活を送ろう

グリセリンは、食品、化粧品、医薬品、工業分野に至るまで、多方面で活躍しています。
「化学的で危険なのでは?」と不安になる気持ちもわかりますが、各種基準や規制のもとで使用されているため、過剰に心配する必要はありません。
とはいえ、ご自身やご家族の体調が気になる場合は、商品ラベルを確認し、必要に応じて専門家に相談することが大切。
正しく理解し、自分のライフスタイルに合った食品を選ぶことで、より安心な食生活を送りましょう。
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基本的には安全とされていますが、国際的な安全基準や国内の規制に準拠した量で使われている前提です。