目指せ有機みかん日本一!株式会社さかもとふるーつに行ってみた!
日本人にとって馴染み深いみかんですが、一般的には化学肥料や農薬を使用することもしばしば。
今回は労力や手間のかかる有機みかん栽培に励む、熊本県の株式会社さかもとふるーつ(以下:さかもとふるーつ)・坂本侑平さんを取材してきました。
掲げる目標は、有機みかんの栽培で日本一になること!
坂本さんの取り組みについてご紹介します。
目次
株式会社さかもとふるーつとは

さかもとふるーつは、日本有数のみかんの産地である熊本県玉名市天水町にあります。
栽培面積は27ha以上あり、有機みかんの出荷数は年間600トンにおよびます。
「コクがあっておいしい!」とファンも多いさかもとふるーつの有機みかん。
今回はさかもとふるーつの代表取締役・坂本侑平さんにお話を聞きましたよ。

坂本侑平さん
株式会社さかもとふるーつ代表取締役。
元高校球児で体力・精神力では負けません!
お父様から有機みかんの圃場を継承。
日本一の有機みかん農家を目指して、日々、仲間と共に精進しています。
高齢化や耕作放棄地など農業が抱える課題にも尽力。
モットーは“できること、当たり前のことをちゃんとやる!”。
地域のシンボルである「みかん山」

坂本さんのみかん畑があるのは、有明海を望む海抜200mの地点。
そこにそびえるみかんの樹が並ぶ段々畑は、通称「みかん山」と呼ばれています。
山の斜面を階段状に開墾し、一段ずつ地盤を守るための石垣を造作。
段々畑の魅力は、みかんの樹々が日向にあることで生育が促進され、高い排水性により、みかんの味が濃くなる点です。
まさに、先人たちの知恵と力が詰まった畑。
みかん山は、みかん栽培が盛んな天水町のシンボルなのです。
株式会社さかもとふるーつへ行ってみた!
完全有機栽培

さかもとふるーつは、2002年にJAS認証を取得しました。
生産しているみかんは、農薬・化学肥料・防腐剤・除草剤を使用せず、有機質肥料で栽培しています。
とくに肥料については、お父様の代から引き継いだこだわりの有機質肥料を使用。
魚の骨やココナッツの皮など厳選されたものが原材料になっています。
坂本さんは、肥料を撒くタイミングまで綿密な計画を立てて実行。
完全有機栽培をすることで、安心できるおいしいみかんを自信をもって組合員さんにお届けしています。
樹の力でみかんをおいしくする栽培方法

みかんは樹にストレスが加わると甘くなる性質があります。
さかもとふるーつでは、1本の樹に成らせる個数を増やすことで樹にストレス(負担)を与え、甘みやコクと言った美味しさを追求。
この方法は翌年の収穫量が減少するリスクもありますが、さかもとふるーつさんではその分を栽培面積の拡大によって補っています。
とても手間暇がかかるこの栽培方法を有機栽培でできるのは、有機栽培面積が広いさかもとふるーつさんならではの強みです。
手作業での栽培・収穫

さかもとふるーつでは、有機みかんの栽培は手作業でおこなっています。
中でも大変なのは、除草と害虫の駆除。広大なみかん山の雑草はすべて手作業で除草をしています。
主な害虫はカミキリムシ。
カミキリムシがいると樹が変色したり枯れたりするため、樹の状態を見極める力が重要に。
カミキリムシやその幼虫を発見した際は針金などを使って1匹1匹取り除き、被害が大きくなるのをくい止めます。
みかんの収穫についても、すべて手作業。
ハサミを使って一玉一玉、丁寧に摘み取ります。
農業が抱える問題の解決に立ち向かう
農家の高齢化や人手不足

みかんの生産で有名な天水地域も、ここ30年ほどで農業の担い手が減少。
現在は、みかん農業経営者の平均年齢は75歳くらいとなり、坂本さんのような若手農家は珍しい存在となりました。
みかん栽培は体力勝負の作業もあり、高齢者や女性では大変なこともあるとのこと。
「誰もやりたがらないからこそ、(農業は)逆にチャンスのある分野だ」と坂本さんはいいます。
圃場整備や栽培工程において、なにかと手作業の多いみかんの生産。
高齢化や人手不足は深刻ですが、坂本さんは仲間が働きやすい職場づくりのために、「誰もが来たくなる畑」づくりに尽力しています。
たとえば、段々畑の1段1段を歩きやすいように広く整地することで、足腰が弱いスタッフでも、安心して作業できるようにしています。
取材時、さかもとふるーつでは35人のメンバーが働いていました。
年間を通して働いているのは家族4名、実習生11名、そのほか繁忙期にお手伝いいただいている方が15人ほどです。
「当たり前のことをちゃんとやる!」を信念に、さかもとふるーつでは仲間全員が一丸となって有機みかん栽培に取り組んでいます。
耕作放棄地を買い取り、圃場へ整備

みかん農家へのなり手が減る中、耕作放棄地の拡大も課題となっています。
耕作放棄地をそのままにしておくと、景観が悪いだけではなく、病害虫の温床となってしまうことも。
圃場への病害虫の侵入を防ぐために、坂本さんは自身が所有している畑に近いところから順番に、毎年耕作放棄地を買い取って開墾。
雑草だらけの荒れた土地を耕したり、石垣を積み上げたり圃場整備をおこなっています。
また、有機栽培の認証には、「種まきや植え付けの2年以上前から化学肥料などを使っていない土壌で栽培していること」という基準があります。
なので、有機みかんの栽培ができる状態にするまで、圃場づくりに最低でも3年ほどかかるんですよ。
坂本さんに聞いてみた!

有機みかん栽培の大変なところ

もえぞー
作業のほとんどを手でおこなう点です。
雑草に関しては、除草剤が使えないので手作業で刈り取ります。
近隣の慣行栽培の圃場では、4~7月頃は月に1度圃場へ行く程度だそうですが、さかもとふるーつでは雨の日でも毎日圃場へ足を運んで草刈りを行っています。
害虫駆除については、防虫剤や殺虫剤も使えないため、針金などを使って虫を1匹ずつ取り除かなければいけません。
収穫に関しても、みかん一玉一玉を手で丁寧に摘み取ります。
天候が厳しいときや繁忙期は、根気の要る作業です。

坂本さん
みかん山を守ろうと思った理由

もえぞー
なぜ、みかん山を守ろうと思ったのですか?
最初はあまり乗り気ではありませんでした。
農業は作業がきついイメージからか、誰もがやりたがらない仕事。
だから逆にチャンスのある業界だと思い、父のあとを継いで農家になることを決意しました。
みかん山を守っていく中で、農業の地位も上げていきたい。
それも最終的な目標のひとつです。

坂本さん
組合員さんへのメッセージ

もえぞー
組合員さんへのメッセージをお願いします。
酸味と甘みのバランスが絶妙な、とてもおいしいみかんです!
化学農薬や化学肥料は一切使っていないので、安心して召しあがれます。
仲間と力をあわせてつくった自慢の有機みかん、ぜひたくさん食べてください!

坂本さん
自慢の体力&精神力で日本一の有機みかんづくり

ただ一言に「日本一の農家になって、おいしいみかんを!」といっても、数日で達成できることではありません。
有機みかん栽培に励む坂本さんの毎日は、まさに努力と体力そして気力の連続。
先代から受け継いだみかん山を守りながら、現代の農業が抱える課題にも尽力しています。
耕作放棄地の開墾や高齢化による人手不足の問題にも、精力的に取り組む坂本さん。
従業員や畑で作業する仲間たちが働きやすいようにと小さな作業でも怠らず、誰もが訪れたくなる畑づくりを目指して仕事に励んでいます。
有機みかん栽培は、手作業が中心。
坂本さんの技と力があってこそ実る安心でおいしいみかんを、これからも味わっていきたいものです。
日本一を目指す坂本さんの有機みかんを、ぜひ、みなさんもたくさんご賞味ください!
編集担当はらりん
2019年アイチョイス入協。40代、中学生と小学生の二人の母。
ネット限定商品を見て、お得で美味しいものをゲットするのがひそかな楽しみ。
イチ推しの商品は、クチコミ投稿せずにはいられません。
コーヒーとチョコ大好きの私はヘーゼルナッツ派。







有機みかん栽培で大変なことは何ですか?