食品添加物「次亜塩素酸ナトリウム」とは?危険性や表示方法、ハイターとの違い

「次亜塩素酸ナトリウム」という表示を見て、「漂白剤と同じ名前だけど口にしても大丈夫なの?」と不安や疑問を覚えたことはありませんか。
これは食品添加物として国が認可していますが、よくわからないと不安ですよね。

そこで本記事では、食品添加物としての次亜塩素酸ナトリウムの役割や安全性について、わかりやすくご紹介します。

次亜塩素酸ナトリウムは国が安全性を認めた食品添加物です。
食品添加物には以下4つの機能があり、次亜塩素酸ナトリウムは、食品の保存性と安全性を高めるのが主目的です。

その他、次亜塩素酸ナトリウムについて、以下の項目で解説します。

次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物?

次亜塩素酸ナトリウムは、厚生労働大臣の指定を受けた指定添加物の一つです。

食品添加物の用途としては、食中毒の原因となる菌を殺菌する「殺菌料」に属しています。

殺菌料の主な目的は、微生物を殺して食品が腐るのを防ぐこと。
次亜塩素酸ナトリウムは野菜や果物の洗浄だけでなく、食品製造に使われる装置や器具にも利用されています。

次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸ソーダや次亜塩素酸Naなどの表示もありますが、多くの場合、最終的に食品にほとんど残らない「加工助剤」として扱われ、原材料として表示されないことも。

 

加工助剤については、以下の記事で詳しく解説しています。

次亜塩素酸ナトリウムの特徴と用途

次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素を4.0%以上含み、無色から淡黄緑色の液体で、塩素の匂いがするのが特徴です。

最大の特徴は、強い殺菌作用や漂白作用、さらには酸化作用をもつこと。

次亜塩素酸ナトリウムはごまに使用することはできません。
ただし、ごまを除けば、幅広い食品や食品製造設備の殺菌や漂白に利用されています。

 

具体的な用途としては、以下のようなものが挙げられます。

次亜塩素酸ナトリウムは食品分野だけでなく、私たちの生活に欠かせない衛生管理のさまざまな場面でも幅広く活用されています。

次亜塩素酸ナトリウムは消毒用に利用される?

次亜塩素酸ナトリウムは、強力な殺菌効果のため、さまざまな場所で消毒のために利用されています。
とくに食中毒のリスクを徹底的に管理する必要がある食品製造の現場では、欠かせない存在です。

たとえば、飲食店や食品工場では、調理で使う器具や作業台、床などの消毒にも使われ、施設全体の衛生レベルを高く保つ役割を担っています。
ノロウイルスなどの感染力が強いウイルスにも効果が期待できるため、感染症対策としても重要です。

次亜塩素酸ナトリウムは家庭用漂白剤としても使用される

次亜塩素酸ナトリウムは、食品添加物だけでなく家庭用漂白剤としても使用されています。

 

食品添加物としての利用

家庭用漂白剤としての利用
分類食品添加物雑貨品(塩素系漂白剤)
主な用途食品の殺菌(野菜など)衣類や食器の漂白・除菌、掃除
規制食品衛生法雑貨品としての基準

次亜塩素酸ナトリウムが食品添加物として使用される場合と家庭用漂白剤として使用される場合があります。
主成分が同じですが、これらは法律上の分類や用途がまったく異なるものです。

一番の違いは、次亜塩素酸ナトリウムが「食品添加物」であるのに対し、家庭用漂白剤は「雑貨品」に分類されるという点です。

次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の違い

名前がよく似ている「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」ですが、性質や特徴が大きく異なるため、使用する際は注意が必要です。

 次亜塩素酸ナトリウム次亜塩素酸水
液性アルカリ性酸性

製造方法

炭酸ナトリウムに塩素を加える食塩水や塩酸を電気分解して生成
長期保存原液で長期保存が可能保存状態により時間とともに効果が減少

前提として、次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めたものが、次亜塩素酸水ではありません。

次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性で酸化作用を持ち、原液のままで長期保存が可能です。
家庭用漂白剤などに使用されてます。
次亜塩素酸水は酸性で、短時間で酸化させる効果がありますが、保存状態によっては効果が徐々に減少するのが特徴です。

食塩水や塩酸を電気分解して生成した次亜塩素酸水は食品添加物の殺菌料に指定されますが、次亜塩素酸ナトリウムに酸を添加して酸性にする製造方法もあります。

後者は基準が明確になく、注意が必要です。

次亜塩素酸ナトリウムの食品添加物以外での用途

次亜塩素酸ナトリウムは、食品添加物としてだけでなく、私たちの暮らしのさまざまな場面でその強力な殺菌・漂白能力を発揮しています。
主に以下の内容について解説します。

次亜塩素酸ナトリウムの活用例

食品添加物以外の用途として最も知られているのは、家庭用漂白剤やカビ取り剤の主成分としての利用です。
衣類のシミ抜きやお風呂場のカビ除去にも効果を発揮します。
また、以下のような場面でも活用されています。

次亜塩素酸ナトリウムは家庭内の清掃から衛生の維持まで、幅広い分野で私たちの生活に貢献している重要な物質なのです。

次亜塩素酸ナトリウムを取り扱う際の注意点

次亜塩素酸ナトリウムは便利ですが、取り扱いには十分注意をしましょう。
安全に使用するための重要なポイントは、以下3つです。

とくに、酸などと接触すると、塩素ガスが発生する場合があります。

また、使用する際は必ず窓を開けるなどして、しっかりと換気を行うことが大切。
原液や濃い溶液が皮膚に付着すると肌荒れの原因になるため、ゴム手袋やエプロン、保護メガネを着用し、身体を守るようにしましょう。
万が一、皮膚や目に入った場合はすぐに大量の水で洗い流し、医師に相談してください。

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムは危険?

「添加物」や「塩素」という言葉から、次亜塩素酸ナトリウムに対して「危険ではないの?」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
国が安全性を認めている一方で、先ほど述べたように次亜塩素酸ナトリウムを扱う際には注意が必要です。

次亜塩素酸ナトリウムの危険性について、以下の内容を解説します。

次亜塩素酸ナトリウムをカット野菜にかけるとどうなる?

次亜塩素酸ナトリウムは、その主成分である次亜塩素酸が持つ強い酸化作用によって、食品を消毒することができます。
細菌、ウイルス、カビなど幅広い微生物に有効です。

次亜塩素酸ナトリウムの働きでカット野菜などを安心して食べられますが、適切な濃度と時間で使用し、殺菌後流水で十分すすぎ洗いをしなければなりません。
消毒後に十分にすすぎ洗いが行われていないと、食品に残留した塩素によって、塩素臭を感じる場合があります。

次亜塩素酸ナトリウムで洗った野菜は大丈夫?

次亜塩素酸ナトリウムは、国の基準に沿って使用され、その後十分に水で洗い流された野菜は、食べても健康への影響はないとされています。

その理由は、次亜塩素酸ナトリウムは従来の消毒剤に比べて残留性が非常に低いとされているからです。

ただし、これはあくまで事業者がルールをきちんと守っている場合。
ごくまれに、すすぎが不十分なことで塩素の匂いが残るケースもあります。

次亜塩素酸ナトリウムの使用基準と食品衛生法の関係

次亜塩素酸ナトリウムは、食品衛生法という法律に基づいて、国が使用を認めている食品添加物です。
食品衛生法では、添加物の安全性や使用方法について細かいルールが定められています。

次亜塩素酸ナトリウムは、ごまへの使用は禁止されていますが、その他使用できる食品や使用量の最大限度は定められていません。
しかし、最終的に食品が完成する前には、水洗いなどによる除去が求められます。

これは「加工助剤」という考え方に基づくもので、あくまで食品をつくる過程で衛生管理のために使われ、量が少なく食品に影響を与えないものという位置づけのためです。
このように、法律で厳しく基準が管理されているからこそ、私たちはその安全性を信頼することができるのです。

次亜塩素酸ナトリウムの濃度はどれくらいなら安全?

次亜塩素酸ナトリウムの安全な濃度は、使用目的によって大きく異なります。
一概に「この濃度なら絶対安全」というわけではなく、対象物に合わせて適切に希釈しての使用が最も重要です。

たとえば、食品の殺菌では、野菜や果物に対して約0.01~0.02%の濃度で使用されます。
0.02%の濃度で5分間、または0.01%の濃度で10分間浸漬することが必要です。

一方、厚生労働省が推奨する家庭での消毒(テーブルやドアノブなど)では、濃度0.05%が目安とされています。

これは、500mlのペットボトル1本の水に、家庭用漂白剤(原液の濃度が5%の場合)5mlを入れた濃度です。

濃度が低すぎると十分な殺菌効果が得られず、高すぎると食品の風味を損なったり、万が一口に入った場合に健康を害する恐れがあります。

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムの食品残留濃度

食品添加物として使用される次亜塩素酸ナトリウムは、法的に明確な残留濃度の上限値は定められていません。
しかし、「いくら残っていてもよい」という意味ではなく、「基本的には残らないように使う」という前提があるためです。

食品事業者は、安全性を確保するために、残留を限りなくゼロに近づけるため、カット野菜工場などでは徹底したすすぎ洗いと水質チェックが行われているのです。

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムの表示義務はあるの?

食品添加物(殺菌料)として使われる次亜塩素酸ナトリウムには、原則として食品への表示義務がありません。
次亜塩素酸ナトリウムが主に「加工助剤」として扱われるためです。

加工助剤とは、食品の製造過程で使用されるものの、最終製品には残らないか、残っていてもごく微量で人体に影響がないとされる物質のこと。
次亜塩素酸ナトリウムは、使用後に水で洗い流されて除去されるため、この加工助剤に該当します。

そのため、スーパーで売られているカット野菜などのパッケージに、原材料名として記載されていないことがほとんど。
消費者がその使用の有無を知るのは難しいですが、それは安全なレベルまで除去されている証でもあるのです。

加工助剤など食品添加物における表示不要なケースを以下で解説しています。

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムのよくある質問

次亜塩素酸ナトリウムのよくある質問について、以下で解説します。

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムとは?

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムとは、国が食品衛生法に基づき、安全性を認めた殺菌料のことです。

その主な役割は、食中毒の原因となる細菌やウイルスを殺菌・消毒し、食品の安全性を高めること。
カット野菜の洗浄や、まな板などの調理器具の除菌に広く利用されています。

使用後は水で洗い流され、最終製品にはほとんど残らない「加工助剤」として扱われるため、表示されることはほとんどありません。

次亜塩素酸ナトリウムの人体への影響は?

適切に使用・管理された食品を食べる限り、次亜塩素酸ナトリウムが人体に悪影響をおよぼす心配はほとんどありません。

食品に使われた次亜塩素酸ナトリウムは、最終的に水で十分に洗い流され、残留しないことが前提となっているからです。

ただし、あくまで「正しく使えば安全」であり、使用後は十分に洗い流すことなど取り扱いに注意が求められる物質でもあります。

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムを正しく理解して安心な食生活を送ろう!

食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムについて「塩素」や「漂白剤」という言葉から、漠然とした不安を感じていた方もいるかもしれませんが、国が定めた厳しい基準のもと、私たちの食の安全を守るために重要な役割を果たしています。

食品に使われる際は、「加工助剤」として濃度や使用方法が厳しく管理され、最終的にはしっかりと洗い流されて私たちの口に入らないよう徹底されているのです。

次亜塩素酸ナトリウムの性質と役割を正しく理解すれば、過度に怖がる必要はありません。
正しい知識を身につけて、これからも安心して豊かな食生活を送りましょう。

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