有機の学校ORGANIC SMILEに通う第4期生・かおりんに密着取材してみた!

これまでにも何度かご紹介してきた『有機の学校 ORGANIC SMILE』。

今年は第4期生を迎え、授業内容もさらにパワーアップしているそうです。
そんな有機農業の学校に、アイチョイスのスタッフが生徒として通っていると聞き、今回はそのメンバーに密着しました。

密着取材を通し、授業の様子や通っている人たちの雰囲気など、リアルな学校の姿をたっぷりレポートしていきますよ!

昨年2024年度に訪問した時の記事はこちら。

「有機の学校 ORGANIC SMILE」がある熊本県上益城郡山都町(かみましきぐんやまとちょう)は、有機JASの認証登録農家が日本一多い町。

2022年に開校したこの学校では、農家の卵や農業について学びたい生徒が多く通っています。
農薬を控えて高品質・多収穫を実現する「BLOF理論」を中心とした座学や、畑での農業技術の実践を年間120時間(毎月2日)じっくりと学ぶことができます。

また、農家として独り立ちするためには農業経営知識も重要。
その点、山都町には有機栽培農家がたくさんいるので、先輩から知識を吸収することができるのです!

他にも、有機の学校 ORGANIC SMILEが新規就農者に住居をあっせんしたり、生協が関わって卒業生の野菜の販路を確保したりと、手厚いサポートが受けられるんですよ。

開校時の様子や、有機の学校 ORGANIC SMILEの理念について詳しくはこちらの記事をご確認ください。

カリキュラムがより実践的な内容にレベルアップ!

有機の学校のカリキュラムが新しくなり、圃場での実践や土・植物とじっくり向き合う時間がさらに充実しました。
基礎から応用まで、有機農業を体系的に学べる授業内容となっています。

対象は、農業初心者から有機農家を目指す方、すでに就農している方、そして受け入れ農家で研修中の方まで、幅広く開かれています。

さらに栽培技術を磨きたい方には、経験豊富な先輩農家のもとで実地研修を行うこともできるんですよ!

有機の学校参加中のアイチョイススタッフに密着!

かおりん

アイチョイス商品部品質管理担当。

「かおりん」というニックネームは有機の学校第4期生みんなにつけてもらいました。

趣味は旅行で、国内外問わず足を運ぶフットワークの軽さが持ち味!
「知りたい!」と思ったことにはとことん向き合います!

 

冒頭で述べた通り、2025年度はアイチョイスで働く職員の中から、有機の学校ORGANIC SMILEに生徒として参加しているメンバーがいます。

そのメンバーの名前はかおりん。

普段の業務では、組合員さんから寄せられる商品に関するご意見・ご要望への対応や、商品の品質に関わる管理業務全般を担当し、デスクワークが多め。
しかし、もともとは自然が多い地域で生まれ育ったので、農業や動植物は身近な存在だったといいます。

いずれご実家のお庭で家庭菜園を始めることを目標に、有機の学校への参加を決めました。
今回はかおりんの一日に編集部が密着し、レポートしていきますよ~!

10月18日 9:00頃 学校に到着!

9:00を過ぎたころ、続々と生徒のみなさんが集まってきました!
生徒さんたちの中にはもともと農業を営んでいる方や、農地を借りて既に有機農業に取り組んでいる方もいらっしゃるんですよ。

愛知県から熊本県への長距離移動となったかおりん。
授業がある毎月第3土日は、有機の学校の建物内にある生徒用の宿泊室を利用しているそうです。

「もう半年こうして通ってお泊りしているから、慣れちゃったよ!」とのこと。

実習用の長靴や作業服を干すためのハンガーなど、必要なものは学校事務局と交渉して保管させてもらっています。

遠方からの参加を検討している方々には、とても心強い制度です!

1限目 土壌医検定3級

1限目は「土壌医」という資格を取得するための資格勉強の時間。
担当講師は有機稲作研究所に所属する、土壌医の米倉先生です。

「土壌医」とは、農作物を育てる上で欠かせない「土」の状態を診断し改善する、いわば「土のお医者さん」。
その専門性の高さから、生徒のみなさんから挙がる質問も、日頃から農業に真摯に向き合っている方々ならではの、非常に高度な内容ばかり。

分厚いテキストを手に、米倉先生の話に真剣な眼差しで耳を傾ける生徒たち。
その横顔からは、農業への強い思いと学びへの意欲がひしひしと伝わってきます。

2限目 BLOF理論の実践 施肥設計(堆肥・育苗培土など)

次に、BLOF理論をどう実践するのかというテーマで、施肥設計について学ぶ時間です。
担当講師は有機の学校校長の鳥越先生!

「施肥設計」とは、圃場や作物の状況に応じて、どんな肥料を・どのタイミングで・どれくらい与えるのかを計画・実施すること。
この授業では、生徒や卒業生、関係者の管理する圃場を例に挙げて、土の設計図を描いていきます。

今回は第1期生の「おしずさん」が自身で育てている、有機いちごについて!
施肥設計を行って肥料を与えた後、実際の圃場はどんな変化があったのかを生徒全員に共有してくれました。

授業後半からは、専用のソフトを使い、全員で鳥越先生からの施肥設計の課題を解いていきます。
元素記号や化学式が飛び交う授業の様子に、「これがBLOF理論・・・!」と感動する編集部。

「みんなもいちご栽培やってみたくなったんじゃない?」という鳥越先生の言葉に、生徒のみなさんからも笑みがこぼれました。
講義を聞いているだけで、「この数字通りにやれば私でも上手に栽培できちゃうかも!?」と思ってしまう、不思議な魅力あふれる鳥越先生の授業でした!

3限~6限目 BLOF理論 作物別栽培応用:水稲

3限目から6限目では、「BLOF理論をそれぞれの作物の栽培に、どのように応用するのか」を学びます。
講師は徳島県で40年以上農業に取り組んできたBLOFインストラクターの西田先生。
今回のテーマは、BLOF理論を活用した有機及び特別栽培の稲作について。

授業は、生徒たちが先生に質問を投げかける形式で進行。
活発なやりとりの中で、理論の実践的な理解が深まっていくのを感じましたよ!

「BLOF理論の稲作では、稲を刈った直後から、次の栽培はすでに始まっている」と話す西田先生。

栽培後に重要となるのが、収穫後に残る稲ワラの分解なのだそう。
稲が土壌から吸収した栄養素は、籾だけでなくワラにも含まれているため、これをしっかり分解して土に還すことが次の栽培の準備につながります。
西田先生によれば、収穫から約3か月以内に分解を促進することが理想とのこと。

午後の4時間にわたる授業は、生徒たちの疑問を一つひとつ丁寧に解消する、充実した学びの時間となりましたよ! 

10月19日 1限~2限目 栽培実習で稲の収穫

2日目の朝は、学校が管理する圃場に集合!
春に生徒のみなさんたちで田植えをした稲が、いよいよ収穫の時を迎えます。

通常はコンバインを使って稲刈りを行いますが、今回は「経験を積むために」と、全員が鎌を手に取り、手作業での収穫に挑戦しました。

稲の根元を見てみると、片手ではつかみきれないほどの太さ!

「田植えのときは、細い苗を数本ずつ植えたんだよ。それがこんなにたくさん分結して、手でつかむのも難しいくらいになるなんて、すごいでしょ」と話すかおりん。

前日の「BLOF理論 作物別栽培応用:水稲」の授業を思い出しながら、稲や土の状態を確認しつつ、丁寧に収穫を進めました。

収穫した稲は、パイプで組み立てた枠に掛けて天日干しします。
この方法は「はさかけ」と呼ばれ、カビの発生を防ぎ、お米の追熟を促す効果があるそうです。

乾燥が進む来月には、籾を取り除いた稲わらを畑に鋤き込み、来年の土づくりが始まるんですよ。

3限~4限目 栽培実習 葉物野菜の播種・トンネルの設置

お昼休憩をはさんで、午後からは別の圃場へ。

講師のコープ有機九州支所所長・西山先生と、授業のために駆けつけてくれた卒業生の方々の指導の下、小松菜の種まきとトンネルの設置作業を行いました。

まずは「播種機」という、種まき用の機械を使って種を等間隔に撒いていきます。
次にトンネルの支柱を等間隔に立てていきますが、強風や雨に耐えられるよう、しっかりと深めに地面に差し込む必要があります。
支柱を立て終えたら、その上にネットを広げ、ネット両端と左右に土を被せて、固定すれば完成!

説明だけ聞くと簡単に聞こえるかもしれませんが、実際にやってみるとこれがなかなか難しいんです。
種を均等にまっすぐ撒くことひとつとっても技術が必要ですし、支柱を立てたりネットを広げる作業にはかなりの力が要ります。

それでも、西山先生や卒業生の方々が作業のコツや注意点を丁寧に教えてくださったおかげで、みなさん無事に作業を終えることができましたよ!

5限目 作物栽培基礎

実習を終えて学校に戻ると、今度は小松菜やほうれん草についての講義が始まりました。

作物を上手に育てるためには、その作物を深く理解することが何よりも大切です。
それぞれの作物が持つ特徴、栽培管理の方法、発生しやすい病害虫、そして出荷のポイントまで。

農業をビジネスとして捉える方にとっては、非常に重要な内容ばかりでした。
前の時間に実際に種まきを体験したことで、講義の内容も自然と頭に入ってきます。

やはり「体験してから学ぶ」ことで、理解の深まり方が違いますね!

2日間の授業はこれにて終了!
内容が盛りだくさんの、とても濃い2日間でした。

有機の学校に参加中のかおりんに聞いてみた!

有機の学校への参加を決めた理由と感想

ちえまる

有機の学校への参加を決めた理由を教えてください。

私は農業の経験はないですし、他の参加者と違って特定の目的があるわけでもないんです。

でも、鳥越校長に「将来、家庭菜園をやりたくて農業を勉強したい」と話したら「そういう動機でもいいんじゃない?」と言ってくれて。

有機の学校で農業について学んだら、卒業後は実家の庭の一角で家庭菜園を始めようかなと考えています。
いずれは農地を借りて、自分が食べる分の野菜を自分で育てられるようになりたいですね!

かおりん

授業の感想

ちえまる

有機の学校に通ってみた感想を教えてください。

毎月、農業界(笑)では知る人ぞ知る!スゴイ先生に来てもらえます。
教え方もとてもわかりやすいので楽しく学べますし、自分の知識や視野も広がっていると感じています。

先生たちの情熱や実際の活動、生徒みんなの熱量もとても素晴らしいと思います。

かおりん

有機の学校への参加を検討中の方に向けてメッセージ

ちえまる

有機の学校への参加を検討している方に向けてメッセージをお願いします。

有機の学校での学びや野菜づくりを通じて、食べる人の体や環境とのつながりを考えることができます。

農業に取り組むことをきっかけに、さまざまな問題に貢献もできると考えていますが、まずは「知る」ことから始めるのが重要。
知識を持って野菜を選び、食べることも、生産者の方々の応援になりますよ。

仕事をしながら毎月1年間学校に通うのは確かに大変ですが、授業の日程は年間で決まっているので、日程調整もしやすく、何とかなっていますよ~!

自力(自腹)では中々できない事だと思うので、「せっかくのチャンス」にぜひ飛び込んでみてほしいです!
私もできる限りの協力を約束します!

かおりん

有機の学校で働く方に聞いてみた!

鳥越さん

運営母体であるNPO法人ORGANIC SMILEの副理事長で、有機の学校ORGANIC SMILEの校長兼講師です。

生産者としてアイチョイスに出荷も行っています。

「ノリで!」という言葉が口癖で、音楽好きな一面も。
第4期生生徒のみなさんとは、あだ名で呼び合う仲だそうです。

みーちゃん

山都町地域おこし協力隊から派遣された、ORGANIC SMILEの事務局担当。

以前は建設関係の仕事をしていたそう。
3年前、知人から農業の危機的な状況について聞き、「自分で農業できるようになろう!」と一念発起。

大阪から単身で熊本県へ移住する、行動力の持ち主です!

有機の学校ORGANIC SMILE 4年目を迎えて

ちえまる

 有機の学校 ORGANIC SMILEが4年目を迎えた感想を教えてください。

有機農業を学ぶうえで、まずは人間同士の関係が有機的に結びついていることが重要だと考えています。

この4年間で、運営側と生徒のみなさんとの間の「適度な距離感」というものを見つけられたかなと感じていますね。

生徒のみなさんが講師を信頼して学べること。
運営側が、リラックスした環境をつくれていること。

そのふたつが重要な要素だと思っています。
緊張した雰囲気だと、勉強しづらいですしね(笑)

鳥越さん

私が有機の学校事務局で働き始めて、2年が経過しました。
その2年間で、働く人たちと生徒のみなさんの仲がより深まったと感じていますね。

例えば、毎月授業後に交流会を開いているのですが、外食ではなく校舎の中で開催するように変更をしました。
物価の高騰を受けて、参加が難しいメンバーが増えたためです。
全員が交流できる機会を設けることで、授業中の意見交換も活発になりました。
卒業後も、それぞれの友人関係が続くことを祈っています。

みーちゃん

有機の学校のこれから

ちえまる

有機の学校の今後の展開について教えてください。

有機の学校のような有機農業について学べる場が、全国に増えていってほしいですね。

そのためには、有機農業について伝えることができる人材の育成が有機の学校の役割のひとつだと思います。

また、農家さんにはいろいろな価値観を持った人たちがたくさんいます。
そういう人たちが交流できる環境づくりを、自分たちだけでなく、行政を巻き込んで取り組んでいくことが必要です。

有機農業が広がることで、世の中が良くなることがたくさんあると思います。
なので、可能性を感じられることにはどんどん挑戦していきたいですね!

鳥越さん

入学検討中の方に向けてメッセージ

ちえまる

入学を検討している人に向けてメッセージをお願いします。

有機農業は難しいというイメージがあるかもしれません。
でも、この学校には、その一歩を踏み出すための多彩なサポートがあります。

「やってみたい!」と思ったなら、どんどん飛び込んできてください!
その気持ちに応えられるように、私たちもあなたに寄り添います。

どんな理由や動機でも構いません。
まずは気軽にお問い合わせしてみてくださいね!

鳥越さん

世の中の状況や政治が目まぐるしく変わっています。
絶望的な路線から、「何か良くなるんじゃないか」という希望まで、いろいろなことがあると感じています。

有機農業に取り組みたいと考える人たちが、それぞれのペースで向き合えるように、事務局の人間として手助けしていきたいですね。

この仕事にやりがいを感じています。

みーちゃん

卒業生に向けてメッセージ

ちえまる

有機の学校を卒業した卒業生の方たちに向けて、メッセージをお願いします。

卒業後も、生徒のみなさんは学びが止まらないと思います。
学び続けて、何か壁にぶつかったと感じたら、私たちと一緒に解決していきましょう。

それぞれの夢や、思い描く「有機のかたち」があると思います。
そこに向かって、ともに頑張りましょう!

鳥越さん

有機の学校を応援する人に向けてメッセージ

ちえまる

有機の学校を応援してくれる方々に向けて、メッセージをお願いします。

有機の学校ORGANIC SMILEパートナーのみなさんには、とても感謝しています。
学校の運営には、やはりお金がかかります。
皆さんに応援いただくことによって、新たな有機農家が生まれたり、有機農業に踏み出せなかった人たちが、きっかけを得ることができます。

4年目に入り、地域行政からの協力もあり、さまざまな変化が生まれてきました。
我々がともにあり、一緒に活動に取り組んでいるんだと感じていただけるように、学校を盛り上げていきたいと思います。

これからも応援よろしくお願いいたします!

鳥越さん

有機の学校 ORGANIC SMILEの先生たちへのインタビュー記事はこちらからどうぞ!

有機の学校ORGANIC SMILEは毎年受講生を募集しています。

編集部として2日間の授業に参加し、「農業」という分野が、豊かな専門知識と経験を必要とする、とても奥深い世界であることを実感しました。

そして何より、「有機農業を学びたい!」という強い思いを持って取り組む皆さんの熱意に、心を動かされました。

有機農業や有機野菜の普及には、私たち消費者の応援が欠かせません。
日々の買い物で買い支えることが大きな力になります。

さらに、「有機の学校をもっと応援したい!」と考えている方には、サポーター制度「賛助会員(フレンド会員)」があります。
現在も会員を募集していますので、ぜひ積極的なご支援をお願いいたします。

そして、有機農業に挑戦したいと考えている方へ。
「有機の学校 ORGANIC SMILE」では、毎年受講生を募集しています。

詳しくは、下記のリンクから公式ホームページをご覧くださいね!

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編集担当ちえまる

2023年にアイチョイスに入協、20代、1人暮らし。
アイチョイスには食べたことのないものや知らない食べ物がたくさんあって、わくわく。
ズボラながら普段は自炊をがんばっています。今はレパートリーを増やそうと奮闘中。
ミックスナッツはパンプキンシードが入っているものが好き。