有機栽培?農薬不使用?農産品にまつわる用語を徹底解説!

有機栽培や有機JAS、農薬不使用、特別栽培・・・

野菜の栽培方法に関する表記は多々ありますが、正しく理解できているでしょうか?

たとえば「無農薬」「減農薬」は今では使用できない表現なのです。

 

今回は、農産品にまつわる用語を徹底解説!

用語の意味を知っておくと、野菜を購入する際にも役立つはずですよ。

3つの栽培方法

日本における栽培方法は様々あるのですが、代表的なのは下記の3つ。

 

[1] 慣行栽培

[2] 特別栽培

[3] 有機栽培

 

まずはこの3つの栽培方法と、「有機栽培」に対する認証資格「有機JAS」について解説します。

慣行栽培

「慣行栽培」とは、化学農薬・化学肥料を用いた、一般的な栽培方法です。

 

一般的な栽培方法とはいえ、化学農薬や化学肥料を制限なく自由に使えるわけではありません。

 

化学農薬・化学肥料ごとに使用方法が定められており、基準となる慣行レベルは、地域の気候や特性に合わせて地方自治体が策定しています。

 

化学農薬や化学肥料は病害虫を抑制したり野菜の成長を助けたり、農産物に対する即効性が高いため、栽培における生産者の労力や時間を最小限に抑えられることがメリット。

 

有機栽培や特別栽培に比べ慣行栽培は多くの化学農薬・化学肥料が使用できるため、品質の安定や収量の向上が期待でき、今の日本ではもっとも多い栽培方法です。

引用:農林水産省統計 平成30年度 農林水産情報交流ネットワーク事業 全国調査 環境保全に配慮した農業生産に資する技術の導入実態に 関する意識・意向調査(平成30年11月掲載)|農林水産省

index-13.pdf (maff.go.jp)参照2023-12-29)

特別栽培(農薬節減栽培)

「特別栽培」とは、化学農薬や化学肥料を減らした栽培方法です。

 

「特別栽培」には、国により2007年に「特別栽培に係る表示ガイドライン」(以下、表示ガイドライン)が定められています。

参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(平成19年3月23日改正)(PDF : 171KB)tokusai_a-2.pdf (maff.go.jp)

具体的には、栽培期間中の節減対象農薬(※)や化学肥料を、慣行レベルの5割以下に減らすことが必要です。

 

「表示ガイドライン」にそって育てられた農産物は、各地域の認証機関で認証されると特別栽培と謳えます。

 

しかし、認証には手間とお金がかかるため、「特別栽培」のレベルにありながら認証を取得していない農家も多々あるのです。

※後述する有機JAS規格で使用禁止されている化学農薬

有機栽培

「有機栽培」とは、節減対象農薬や化学肥料・遺伝子組み換え技術を使わないことを基本とした栽培方法。

 

有機栽培は、種まきや植え付けの2年以上前(※)から節減対象農薬や化学肥料を使っていない土壌でなければなりません。

よく聞く「オーガニック」という言葉は、「有機栽培」の英語訳です。

 

ちなみに有機栽培でも、使用可能な農薬があるのです。

しかし化学肥料は一切使用できないので、代わりに有機質肥料や堆肥などを用いて栽培を行います。

 

また、有機栽培へ転換中の農産物は「転換期間中有機農産物」としての販売が認められています。

 

有機栽培については、下記の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

 

リンク:有機栽培とは?実はよく分かっていない「有機」の基本を解説。|有機野菜とだいじなはなし|みっくすなっつ アイチョイスのWEBマガジン (ichoice-coop.com)

 

ここで有機JAS規格についても解説します。

※農作物によっては3年以上

有機JAS認証

「有機JAS」とは、日本の有機農産物に関する規格です。

有機栽培のガイドラインにそった生産が行われているかを第三者機関が検査し認証されると、「有機JASマーク」を使用することができます。

 

かつては統一の基準がなく、さまざまな方法で生産された商品が「有機」食品として販売されていました。

 

ただし現在は「有機JAS認証」を得た商品でないと、「有機」「オーガニック」と表記することができません。

なお、令和元年度時点で「有機JAS認証」を取得した割合の高い農産物は以下のグラフの通りです。

引用:有機農業をめぐる事情 (令和4年7月)|農林水産省 農産局農業環境対策課

meguji-full.pdf (maff.go.jp)(参照2023-12-29)

消費者にとって身近な食べ物が多く、一度はこれらの農産物に有機JASマークが貼付されているのを見かけたことがあるのではないでしょうか。

 

しかし、見かける機会が多くなったとはいえ「有機JAS認証」取得済みの畑は2020年度時点で日本国内の耕地面積全体のうち、わずか0.3%。

 

参考: 日本の有機農業の取組面積について(令和5年8月)|農林水産省https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/attach/pdf/index-15.pdf(参照2023-12-29)

 

特別栽培と同様「有機JAS認証」にかかるお金や手間を考え、あえて取得しない農家もいます。

「無農薬」や「減農薬」は使用できない?

「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」という表現は、2007年表示ガイドラインが定められた際に、表示禁止となりました。

 

「無農薬」「無化学肥料」は、残留農薬等を一切含まないと認識しやすいですが、近隣で農薬を使用していたり水路を共有している場合は「無=ゼロ」を実現できているか不明確なことがあるためです。

 

「減農薬」「減化学肥料」表示も、削減の比較基準、割合および対象(減らしたのが残留農薬なのか使用回数なのか)が不明確であり、表示禁止となっています。

化学農薬と化学肥料

慣行栽培で多く使われる「化学農薬」と「化学肥料」について、詳しく見ていきましょう。

化学農薬(節減対象農薬)

「化学農薬」は、化学的に合成された有効成分を含む薬剤で「化学合成農薬」と表記されることもあります。

なお、有機JAS認証で使用が禁止されている農薬を「節減対象農薬」と呼びます。

 

農作物を守るため「殺虫」「除草」「殺菌」を目的として使われており、日本の高温多湿

な気候では病害虫や雑草が発生しやすいので、頻繁に使用されているのです。

 

もちろん「化学農薬」を使用すれば生産性が向上するなどのメリットもあります。

ただし長期的な多用は、環境汚染や生態系へ悪影響、さらには生産者や消費者の体調面へリスクがあると言われている状況です。

 

そんななか、現代では有機農業への取り組みやバイオ農薬の使用といった農法技術など、化学農薬に変わる選択肢も徐々に広がっています。

化学肥料

作物を育てるにおいて、太陽や水、空気以外に「窒素」「リン酸」「カリウム」などの栄養分が必要不可欠。

「化学肥料」は、これらの栄養分を植物が“食べやすく”するために加工した肥料です。

 

しかし、原料の多くを輸入に頼っていることや製造時の二酸化炭素を含む温室効果ガス排出が問題視されています。

 

「化学肥料」の大量使用は、地球温暖化の進行や土壌中の微生物を減らし、生態系のバランスを崩すなどの原因につながりかねません。

 

現代では上記の問題点から、有機質肥料やコンポストなどが使用されることも増えました。

これらの取り組みによって、土壌を健全に保ち、生態系のバランスを維持しながら持続的な農業を維持および植物の生産をすることができます。

アイチョイスで使用する農産ワード

現在、アイチョイスで取り扱いのある農作物の約57%が有機JAS認証を取得済み、または化学農薬・化学肥料不使用の確認が取れた農産物です。

 

残りの半数も、農薬に頼らない栽培方法や、一般より農薬・化学肥料を減らしたものに限定。

 

さらにアイチョイスでは、それらの対象の野菜にマークをつけて判別できるようにしています。

農薬不使用

先ほどもお伝えした通り、「無農薬」といった言葉は法律によって禁止されています。

アイチョイスでは以下の2つを「農薬不使用」と表示しています。

 

[1]「節減対象農薬」を使わず栽培した農産物

[2]有機転換期間中に農薬不使用で栽培した農産物

農薬節減栽培

その地域で慣行的に用いる「節減対象農薬」の成分数を、5割以下に減らして栽培したものです。

化肥不使用

化学肥料(窒素成分)を使わず栽培したものです。

化肥節減

化学肥料(窒素成分)を5割以下に減らして栽培したものです。

 

その他、ネオニコチノイド系農薬不使用、ゲノム編集していないトマトと有機栽培のトマトを主原料とする加工品に対するマークもあります。

 

これらの表示については、詳しくは下記をご覧ください。

 

リンク:ネオニコチノイド系農薬って?アイチョイスの農薬を減らす取り組み|有機野菜とだいじなはなし|みっくすなっつ アイチョイスのWEBマガジン (ichoice-coop.com)

 

リンク:ゲノム編集とは?健やかな食を守るためにわたしたちができること。|有機野菜とだいじなはなし|みっくすなっつ アイチョイスのWEBマガジン (ichoice-coop.com)

野菜選びをさらに楽しむために

農産物を育てるためには、さまざまな栽培方法や農薬・肥料が存在します。

 

栽培方法のちがいや異なる原料を使った農薬・肥料を区別するために、農産用語はそれぞれ分けられてきました。

 

しかしながら、人々に誤解を招かないよう使用禁止となった用語が今もなお、知らずに使われていることもあるのです。

 

アイチョイスでは「農薬不使用」「農薬節減」といった栽培などの基準を表示し、正しい情報で野菜を提供できるよう努めています。

 

「あんしんだと思える野菜を選んでほしい」「当たり前のあんしんを届けていきたい」といった想いがあるからこそです。

 

農産用語の背景を知り、正しい意味を理解することで毎日の野菜選びがもっと楽しくなるはずですよ。

 

ぜひ、これから買い物をする際に役立ててみてくださいね。

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編集担当あかにー

2023年にアイチョイス入協。沖縄出身の30代。
恋人・フェレット3匹・ハムスター4匹・犬1匹の大家族。
製菓学校卒業後はパティシエやバリスタとして7年勤めていました。
最近はアイチョイスの食材を使ったお菓子づくりにハマり中。
ナッツは、カフェラテと相性抜群のアーモンドが好き。