親子2代でキウイフルーツを栽培。グレープガーデン益城に行ってみた!
令和7年8月10日からの大雨により、熊本県内各所で甚大な被害が発生しました。
被害を受けられた熊本県の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
スーパーなどでは1年中購入できる身近な果物、キウイフルーツ。
そのほとんどは、海外から輸入されたものというイメージが強いのではないでしょうか?
長尾さん親子は、まだまだ珍しい国産キウイフルーツを、農薬節減栽培している生産者です。
「誰も作っていないけれど、価値のある果物を」という思いから、先代であるお父様が栽培を始めました。
現在は親子2人で、その技術と信念を守り続けています。
有機質肥料のみを使用して栽培された、あんしんのおいしさ。
その味わいに隠された、おふたりの思いを取材しました。
目次
グレープガーデン益城に行ってみた!

熊本県益城町にある、「グレープガーデン益城」を運営する長尾さん親子。
大自然に囲まれた約1haの農場で、キウイフルーツを栽培しています。
「うちはポツンとしているので」と話してくれた、納さん。
周りには、キウイフルーツを栽培している農家は少ないんだとか。
周りに農場がないことで病気が広がりにくく、影響を受けることが少ないというメリットもあるそうです。

長尾 納さん
「大変だけど、好きだから苦にならない」と、今でも早朝から作業をされているそうです。
キウイフルーツに対する熱意が、ひしひしと伝わってきます!
ものづくりや植物を育てるのが趣味で、ご自宅の池も自作したという頼りがいのあるお父様です。

長尾 豊さん
納さんの息子さんで、2代目として農園の運営に携わっています。
「お父さんを尊敬している」と真っ直ぐに語る姿が印象的でした。
「やってもいい、ではなく、やりたかったんです」と、自ら農業の道を選んだそうです。
栽培しているキウイの品種

長尾さん親子が栽培している品種は、ヘイワード、レッドサン、イエロークイーンの3種です。
ヘイワードは、キウイフルーツと聞いて最初に思い浮かべるような、果肉が緑色の品種。
ルテインという成分が入っており、目に負担をかけるブルーライトを吸収する働きがあるんだとか!
キウイフルーツが目に良いというのは、豊さん自身も最近知ったそうです。
レッドサンは、種の周りの果肉が赤いのが特徴。
ルテインの含有量はヘイワードに比べて少なめですが、甘みがとても強いため、キウイフルーツの酸味が苦手という方におすすめです。
見た目も華やかなので、サラダなどにトッピングしてもいいですね◎
イエロークイーンは、その名のとおり果肉が黄色い品種。
こちらも甘みが強く、ビタミンCの含有量は最も多いとされています。
キウイ栽培を始めたきっかけ

栽培のきっかけは、納さんが若い頃に、たまたま手に取ったアメリカの雑誌。
そこにキウイフルーツに関する記事が載っていたそうです。
キウイフルーツを「スーパーフルーツ」と表現しており、これはすごい果物だと感銘を受け、栽培を始めたんだとか。
今では国産の苗木もありますが、当時はまだ流通がなく、ニュージーランドから取り寄せていたそうです。
もともとすいかとメロンを栽培していましたが、腰を痛めてしまい、何かほかの作物はないかと考えているところでした。
キウイフルーツはつる性植物のため、立って作業ができるのも決め手に。
苗木の入手が困難なほど、栽培している農家が少なかったキウイフルーツ。
不安な面もあったのでは?とお尋ねしましたが、やはり「スーパーフルーツ」という言葉とその栄養価に魅力を感じ、作ってみようと思ったそうです。
豊さんは、そんな納さんのことを「いつも前しか見ていないんです」と笑顔で話してくれました。
従業員の方々からも、「社長が直々に畑に出ている姿が素敵」と評判なんだとか。
納さんのキウイフルーツ栽培への情熱と、人柄の良さが感じられますね。
栽培のこだわり
ヘイワードの栽培

納さんが最初に栽培を開始したキウイフルーツが、ヘイワード。
硬く酸味も強いので、追熟を行わなければ食べられない品種です。
グレープガーデン益城では、栽培開始当初から、エチレンガスでの追熟を実施しています。
エチレンガスとは、野菜や果物などが発する、自らの熟成を促進する役割を持つガスのこと。
この方法により、味のばらつきもなく、順調に栽培を進めてこれたそうです。
そんな中、長尾さん親子を悩ませていたのが、キウイフルーツが寒さに弱いという点。
もともとはヘイワードのみの栽培を考えていたそうですが、とくに寒さに弱い品種だとわかり、レッドサンやイエロークイーンなどの別品種の栽培に力を入れています。
肥料はすべて有機のもの

使用するのは、生物由来の有機物原材料が使われた有機質肥料のみ。
広島の牡蠣殻を焼いた有機石灰や、100%有機リン酸のグアノ(※)を使用しています。
有機質肥料は広い範囲に撒いても効果が出にくいため、根の部分にまとめて撒くんだとか。
窒素系肥料では、なたね油かすがメイン。
味がよくなるため、必ず使用するそうです。
農薬は極力使用しません。
枝の中に害虫であるカミキリムシが入ってしまった場合は、その部分を剪定で切り取ります。
また、キウイフルーツに多いかいよう病と呼ばれる病害は、木全体を枯死させてしまう恐れがあるおそろしいもの。
長尾さん親子の農地で見つかったこともあるそうです。
見つけ次第すぐに切り取り焼却していたため被害は最小限に抑えられましたが、病害や気候変動による不作とは、いつも隣り合わせ。
取材した2024年は収量が減ってしまったという農家も多く、暑さによる影響が大きいのではないかと言われています。
剪定である程度対応していきたいと考えていますが、暑さに対しては最終的に産地を変えるしかないのではとのこと。
止まらない温暖化が、これからの農業に与える影響が懸念されます。
※グアノ・・・鳥の糞や死骸の堆積物からできた肥料。
受粉は納さんが手作業で実施!

豊さんいわく、納さんがいちばんこだわっているのは受粉。
受粉機という専用の道具を使用し、広い農地を10日ほどかけて手作業で行うんだとか。
花付けは品質に直結すると話す納さん。
十分な量を確実に受粉する必要があるため、自らの手で丁寧に行っています。
キウイフルーツには、雄の木と雌の木があるのをご存じですか?
雄の木に咲く花の花粉が雌の木の花に受粉することで、雌の木に実が作られます。
近年、果樹の人口授粉に使用する花粉の輸入量が激減。
キウイフルーツも例外でなく、ニュージーランドでの病害の影響を受け、輸入量の減少と価格の上昇が深刻化しています。
長尾さん親子もニュージーランドから花粉を購入していましたが、価格が以前の倍以上になり困っているんだそう。
農場に雄の木を植え、花粉の自給自足を試みています。
豊さんに聞いてみた!

家庭での追熟方法

もえぞー
おすすめなのが、りんご1個と一緒にビニール袋に入れ、常温の場所に置いておくこと。
りんごからエチレンガスが発生するので、確実にやわらかくなります。

豊さん
おすすめの食べ方

もえぞー
おすすめの食べ方はありますか?
基本はそのままがおいしいですが、ジャムにしたり、サラダにトッピングして食べたりします。
ヨーグルトに入れるのもいいですね。

豊さん
組合員さんへのメッセージ

もえぞー
組合員さんへのメッセージをお願いします。
農薬を減らすことにこだわり、精一杯手をかけてキウイフルーツを栽培しています。
気候や価格の変動はありますが、変わらずおいしいキウイフルーツをみなさんにお届けできるようにと、日々畑に出ています。
どうかお手に取って、わたしたちの作るキウイフルーツを楽しんでみてください。
これからもよろしくお願いします。

豊さん
受け継がれるあんしんとおいしさ

若者の農業離れが深刻化している現在の日本。
天候による影響、体力的な問題、収入に関する不安など、さまざまな理由から農業を仕事にするのを躊躇う人が多いと言います。
そんな中、豊さんのように熱意をもって農業に取り組む若い力は、まさに希望そのもの。
お父様の納さんが築いてきたこれまでに敬意を払い、技術だけでなくその情熱や思いをしっかりと受け取っていることが伝わってきました。
農業を仕事にするという豊さんの決断を、「うれしかったですね」と笑顔で振り返る納さん。
おふたりのあたたかな信頼関係が、キウイフルーツの味わいをさらに深めているように思います。
食べる人のよろこびや笑顔を思い、大切に栽培されたキウイフルーツ。
受け継がれるこの味を、わたしたちも次の世代へ伝えていきたいですね。

編集担当あんにん
2025年アイチョイス入協。30代、二児の母。
 毎日3食+おやつを欠かさない食いしん坊です。
 新商品を見つけたらとりあえず食べてみる派!
 ナッツはなんでも好きですが、食塩不使用のものを選ぶようにしています◎







 
  
 
キウイフルーツが硬いと感じたときは、どのように追熟をすればよいですか?