何度でも食べたいおいしさの秘密は?有機里芋を栽培する上田農園に行ってみた!

令和7年8月10日からの大雨により、熊本県内各所で甚大な被害が発生しました。
被害を受けられた熊本県の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

熊本県で「有機の基地」をめざして活動する、くまもと有機の会。
今回取材に伺った上田さんは、このくまもと有機の会に所属する生産者のひとりです。
メインで栽培している里芋は非常に人気が高く、「こんなにおいしい里芋は食べたことがない!」という声が届くほど。

栽培に関することだけでなく、おすすめの里芋レシピも教えていただきました!

上田さんが農業を始めたのは、約40年前。
もともと上田さんのお父様が、慣行栽培で農業を行っていたそうです。

約35年前にお父様から畑を引き継ぐことになり、そのとき「もう農薬は使いたくない」と考え、有機に転換することを決めました。
くまもと有機の会に入会したのも、このときだったそう。

くまもと有機の会は、有機野菜の生産者と、有機野菜を求める消費者とをつなぐ機関。
有機野菜を通じて、消費者の健康を支えることを理念に掲げています。

上田さんにとって有機の会は、「農業をする上での居場所」。
同じ志を持った生産者のみなさんとともに、有機栽培の拡充に努められています。

上田さん

農業歴40年のベテラン農家さんです。
上田さんの圃場は山都町のシンボルである円形分水のすぐそば。

円形分水は地域の農業にとって重要な場所で、「毎年小学生たちが社会科見学に来るんだよ」と誇らしげに紹介してくれました!

上田さんの畑に行ってみた!

栽培している野菜

上田さんが栽培しているのは、里芋だけではありません。
にんじん、大根、玉ねぎをはじめ、ほうれん草やレタスなどの葉物野菜も栽培しています。
さらに夏場には、なす、ピーマン、オクラ、きゅうりも栽培!

これは、くまもと有機の会で、旬の有機野菜を集めた野菜セットを販売しているため。
品数豊富な野菜セットを作るために、有機の会の生産者たちは、それぞれ15~16種類の野菜を栽培しているんだそうです。

どんな季節でも、旬の有機野菜をたのしんでほしい。
そんな生産者のみなさんの思いが、この野菜セットに詰まっているんですね。

毎年大人気の上田さんの里芋

上田さんはさまざまな農産物を育てていますが、なかでも最も広い圃場で栽培されているのが里芋です。
この里芋は、毎年多くの組合員さんから高評価の声が寄せられるほどの人気ぶり。

「このおいしさを知ってから毎週購入しています。大好きです。」
「ホクホク、つるんともっちりで、とてもおいしくてびっくりです。」
と、うれしいクチコミがたくさん届いているんですよ。

上田さんの圃場は、自然豊かな山あいにいちしており、山から流れる清らかな水が里芋を育てます。
さらに「くまもと有機の会」の田中誠さんによる土壌分析をもとに、土づくりに取り組んでいます。

きれいな水、自然に恵まれた環境、そして上田さんの丁寧な土づくりが、おいしさの理由なんですね。
上田さんが一生懸命に栽培する里芋は、食べる人の心をつかんで離しません。

※田中誠さん・・・くまもと有機の会専務。ORGANIC SMILE副理事長。一般社団法人 日本有機農業普及協会公認BLOFインストラクター。

有機栽培を選んだ理由

お父様が慣行栽培を行っていたにもかかわらず、上田さんが有機に転換したのはなぜなのでしょうか。
それは上田さん自身が、農薬の影響による不調を感じていたためでした。

湿疹や蕁麻疹に悩まされていたという上田さん。
やはり農薬はよくないと感じ、有機へ切り替える決意をしたそうです。

農作物の収量を確保したり、作業効率を上げるために使用される農薬。
しかし近年では、農薬が人体に与える健康被害が懸念されています。

たとえば、害虫に高い効果を発揮するネオニコチノイド系農薬は、人間の神経系に影響を与える恐れが。
子どもの発達にも悪影響を及ぼす可能性があると言われていますが、日本では先進国に比べ規制が遅れているのが現状です。

アイチョイスで取り扱うのは、農薬に頼らず栽培された農作物たち。
「有機栽培」「農薬節減」などとすべてマークで明確に表示し、しっかりと確認した上で購入できます◎

有機JAS認証を受けた上田さんの里芋は、毎年大好評!
あんしんの品質だけでなく、そのおいしさにリピーターが続出しています。

里芋の栽培

円形分水とは?

上田さんに案内されたのは、圃場のすぐそばにある丸い大きな池。
この池は円形分水といい、、特定の水源から水を均等に分配する装置のこと。
1956年に作られた山都町の円形分水は、農業の発展に大きく寄与し、地元のみなさんの誇りとも言える存在です。

この円形分水が、放水で有名な通潤橋のある白糸台地方面と、野尻・笹原地区の耕作面積に応じ、笹原川からの水を適切に配分。
それぞれの水路に、公平に水が流れていきます。

機械を使わず、仕切りのみで水を配分する画期的な仕組み。
山都町の農業を支えるとともに、景観の美しさから観光スポットとしても人気があります。

アイチョイススタッフが訪れたこの日も、熊本市内の小学生たちが社会科見学に来ていましたよ!
ご自身の圃場とともに円形分水を紹介してくれた上田さんが、やさしい眼差しでその様子を見ていたのが印象的でした。

栽培スケジュールとこだわり

上田さんは、前の年に収穫した里芋を種芋として使用します。
里芋は低温に弱い野菜ですが、標高の高い上田さんの農地は、氷点下10度にまで冷え込むことも。
状態が悪くならないよう、種芋となる里芋は、掘った穴の中に入れ土を厚くかぶせて保管されます。

植え付けを行うのは、3月から4月の始めごろ。
土の中から種芋を掘り出し、堆肥を入れてマルチを張ったあとに植えていきます。

植え付けのポイントは、芽を下に向けて15~20cmほどの深さに植えること。
土の中で実った里芋は、できるだけ深い場所にいた方が干ばつに遭いにくいためです。

収穫は9月末から行い、12月ごろまでにはすべて掘り上げてしまうそう。
出荷を待つ里芋は、種芋と同じように土の中で保管されます。

里芋栽培で最も大変なのは「草取り」だと話す上田さん。
通路部分にもマルチを張っておかなければ、手に負えないほど雑草にまみれてしまうんだとか!

上田さんに聞いてみた!

里芋の保存方法

もえぞー

里芋が家に届いたら、どのように保存するのがおすすめですか?

新聞紙などに包んで、冷蔵庫に入れておくとよいです。

上田さん

農業がたのしいと感じるとき

もえぞー

農業がたのしいと感じるのは、どんなときですか?

やはり「上田さんの里芋はおいしい!」と言ってもらえたときですね。
また注文したいと思ってもらえたら、とてもうれしいです。

上田さん

おすすめの里芋レシピ

もえぞー

おすすめの里芋の食べ方を教えてください。

ゆでてつぶした里芋をミンチに混ぜ込み、油揚げに包んで焼いた「里芋バーグ」はおすすめです。
里芋がつなぎの役割をし、ふんわりとした食感に仕上がりますよ。

上田さん

組合員さんへのメッセージ

もえぞー

組合員さんへのメッセージをお願いします。

2024年度は雨が降らず、ひどい干ばつのために不作中の不作でした。
農業は天候に左右されるため保証はできませんが、来年は立派な里芋ができるようがんばっています。
おいしい里芋をお届けしたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

上田さん

「当たり前」ではないおいしさを、これからも

取材に伺った2024年、上田さんの里芋は、干ばつにより深刻な被害を受けていました。
農業歴40年の上田さんも、これほどひどい状態は初めてだと言います。

里芋の栽培は、とにかく水の確保が最重要。
水分が不足すれば、里芋の状態が悪くなってしまいます。

2024年の夏は、平均気温がかなり高かっただけでなく、1か月ほど雨が降らないこともありました。
そのため川の水だけではまかなえず、里芋が枯れてしまうという事態に。
収量は例年の10分の1程度だったと言い、まさに「不作中の不作」だったそうです。

それでも、「暗い話ばかりしていてもね」と笑顔を見せてくれた上田さん。
来年は立派な里芋を届けたいと、すでに次を見据えていました。

農作物は気候の影響をダイレクトに受けてしまうため、十分な収量が得られる保証がないという側面も。
きびしい状況の中でも、食べるひとによろこんでもらいたいという思いを持ち栽培取り組み生産者のみなさんに、心から感謝したいですね。

上田さんの里芋は、その味わいに感動し繰り返し注文される方が本当にたくさん。
これからも味わいたいという気持ちを込めて、買い支えを続けていきましょう!

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編集担当あんにん

2025年アイチョイス入協。30代、二児の母。
毎日3食+おやつを欠かさない食いしん坊です。
新商品を見つけたら、とりあえず食べてみる派!
ナッツはなんでも好きですが、食塩不使用のものを選んでいます◎