価格以上の価値とあんしんを。農薬削減でぶどうを栽培する高田農園に行ってみた!

果汁たっぷりで甘みと香りが強く、高級フルーツとして人気のぶどう。
今回は、長野県でぶどうの栽培を行っている、高田農園の高田さんを取材してきました!

組合員さんにもファンの多い、高田さんのぶどう。
品種ごとの栽培の工夫や農薬削減の取り組みなどについて、お話を伺います♪

高田農園とは

長野県でのぶどうの慣行栽培での農薬使用回数は、巨峰で24回、シャインマスカットで27回。
これを半数以下に抑え、特別栽培レベルを実現したのが、高田農園です。

ぶどうは見た目によって、市場価値が大きく左右されます。
農薬を削減することで、虫による被害や病気が増えてしまうおそれも。
そして、見た目が少しでも損なわれてしまえば、農薬の削減という価値も蔑ろにされてしまうのが現実です。

そのため、農薬を削減するという取り組みは、非常にリスクの高い挑戦なのです。

そこで重要となるのが、適正価格での販売ルートを確保すること。
「見た目が悪くても、農薬を削減して栽培した作物を購入したい」消費者と、「見た目に関わらず、農薬削減という価値を反映した価格で購入してほしい」生産者とを結びつけるはたらきを担うのが、生産指導や生産者の取りまとめを担う「有限会社エムエスケイ」です。

たとえ食べる人のあんしんが最優先であっても、経営が成り立たなければ栽培を続けることはできません。
あんしんを追求する生産者が、その信念を曲げずに栽培を続けるために、しっかりと利益を得られる仕組みづくりが必要不可欠であると言えます。

高田さん

脱サラしてお父様のぶどう園を継いだ高田さん。
長野県うまいくだものコンクールで長野県知事賞を受賞した経歴があります。
ぶどうの味にとことんこだわり、品種ごとの栽培方法を日々追求!

ぶどうの品種別特徴

高田さんが栽培しているぶどうは、ナガノパープル、シャインマスカット、クイーンニーナ、クイーンルージュなど。
それぞれの特徴に合わせて、栽培方法も少しずつ変えているそうです。

ナガノパープル

ナガノパープルは、長野県で品種改良されて誕生した、いわゆる「地元のぶどう」。
黒くて大粒、種がなく皮ごと食べられるのが特徴で、黒ぶどうの中では巨峰に次ぐ主力商品となっているそうです。

糖度は18〜21%と巨峰と同等の甘みがありますが、酸味は巨峰より控えめ。
ポリフェノールがたっぷり含まれた高級ぶどうです。

シャインマスカット

言わずと知れた高級フルーツの代名詞的存在。
全国的に大人気の品種で、ぶどうが高級路線にシフトするのを真っ先に牽引したのがこのシャインマスカットだったそうです。

決して手軽に購入できる価格とは言えませんが、ひと粒ひと粒が極上の味わい。
品質を落とさず栽培を続けることで、その価値を大切に守っていきたいと考えています。

栽培方法の違い

見た目のボリューム感を重視した栽培方法もありますが、高田さんは、あえて房自体を小さくコンパクトに育てることに気を付けているそう。

ナガノパープルの場合は一房20~25粒程度、シャインマスカットは30~35粒ほど実らせています。
収穫量は減ってしまいますが、一粒一粒が栄養のたっぷり詰まったぶどうに。
組合員さんに熱烈ファンが多いのも納得です!

また、ぶどうは粒のついた位置で甘みに差があることをご存じでしたか?
房の下部よりも上部についた粒の方が甘く、上下で糖度が1~2度変わってくるそうです。
一房の中で味にムラが出るのを防ぐためにも、粒数を制限しコンパクトに栽培することを心掛けています。

栽培のこだわり

短梢(たんしょう)剪定でたっぷりの栄養をぶどうへ

短梢剪定とは、木や枝を切り詰める剪定方法で、生長の緩やかな品種に適しています。
成長の過程に合わせて、高田さんが剪定を行うのは大きく分けて3回。

1回目は、ぶどうの花が咲く直前です。

ぶどうが花を咲かせるためには栄養が多く必要ですが、枝が伸びているとそちらへ栄養が流れてしまうんだそう。
先端を切り落とすことで枝の中の栄養を停滞させ、房へ送り込みやすくします。

2回目は、ジベレリン処理(※)を行った直後に行います。

このタイミングでの剪定は、ジベレリンの効果を助長し粒の肥大を促すのが目的。
1回目の剪定後に伸びてきた新しい枝に、栄養が流れてしまうのを防ぎます。

3回目は、ぶどうが成熟に向かっているときです。

本摘粒と袋掛けが終わると、ぶどうは成熟に向かいます。
おいしいぶどうに仕上げるには、まだまだたくさんの栄養が必要。
ここでも、栄養が枝ではなく粒に行きわたるように、剪定を行います。

さらに、3回目は1度では終わらず、可能な限り繰り返す必要があるんだとか。

※ジベレリン処理・・・植物ホルモンのひとつであるジベレリンを使用し、種ありぶどうを種なしにする処理のこと。ぶどうの粒を大きくする効果もある。

葉面散布

葉面散布とは、速効性のある液肥を作物の葉面から追肥する方法のこと。
高田さんが使用しているのは、鹿児島県で製造されている「壺造りの酢」。
アミノ酸の量や酸度、安全性を重視し、エムエスケイが推奨しているものです。

アミノ酸が配合されているため、肥料と同様に栄養補給効果があります。
さらに、酢とあわせて微量要素(※)の散布も行っています。

酢と微量要素の両方を使用することで、効率よく栄養を吸収させ、ぶどうの甘みに変えられるそう。

高田さんは、根から得る栄養が最重要であると考えます。
生育に適した土で栽培することが、おいしいぶどうを育てる上での大前提。
それを手助けする手段として、葉面散布を行っています。

※微量要素・・・農作物の生育に必要不可欠な栄養素のうち、必要量がごく微量なものの総称。鉄、マンガン、亜鉛、銅、塩素などが該当。

虫の被害を防ぐために

高田さんは、30年ほど前から農薬削減に取り組んでいます。
虫による被害を防ぐためには、虫をよく観察し知識を増やすことが必要だと考えているそう。

ぶどうの害虫としてよく知られるのが、「クビアカスカシバ」です。
クビアカスカシバの幼虫がぶどうの幹に入り込むと、樹皮下を食害し木全体を弱らせ、時には枯らせてしまうことも。

幼虫は土の中に繭を作って越冬し、成虫になれば新たな卵を産み付けます。
出てきてしまった虫は、「感覚的には手遅れ」だと話す高田さん。
ふ化する前に対応することを今後のポイントとし、取り組んでいきたいとのことです。

さらに、土づくりも防除のひとつ。
よい土を作ることで自然と害虫や病気が起こりにくくなり、その結果、農薬の使用を減らすことにつながると考えています。

それでも害虫が発生したときは、農薬を使うのか、もしくは自分の手で駆除できるのかを検討。
その判断を的確に行うためにも、やはり普段からしっかり観察することが重要だと言えます。

高田さんに聞いてみた!

おすすめの保存方法

もえぞー

おすすめの保存方法はありますか?

基本は冷蔵保存で、房ごとではなく粒にして保存した方がもちやすいと思います。粒にする際は、実と茎のあいだの付け根部分を残すようにすると、水分が抜けにくくなります。

長期保存の場合は冷凍ですが、解凍すると水分が出ておいしさが逃げてしまうため、凍ったままアイスのような食感をたのしんでみてください。

高田さん

ぶどうの表面についている白い粉

もえぞー

ぶどうの表面についている白い粉はなんですか?

ブルームと呼ばれ、水分の蒸発を防ぐはたらきがあります。
新鮮な証拠で、無害なのでそのまま召し上がってください。

高田さん

組合員さんへのメッセージ

もえぞー

組合員さんへのメッセージをお願いします。

直接顔を合わせることはできませんが、「こんな人が作っているんだ」と思って食べてもらえたら、また違った味わいになるのではと思います。

おいしいぶどうをみなさんにお届けするところまでをイメージして栽培しているので、気持ちが伝わっていればうれしいですね。

高田さん

価格以上の感動を届けるために

ぶどうには、品種それぞれの味わいがあります。
個性とおいしさを最大限に引き出すために、高田さんは、品種に合わせた栽培方法を追求し続けています。

決して気軽に手を出せる価格ではないのも事実。
だからこそ、購入した人はそれに見合った価値を求めています。
「高品質で当たり前」というプレッシャーは、想像もできないほど大きいはず。

高田さん自身がお話しされていたように、ぶどうは見た目で価値を決められてしまうもの。
農薬を節減したあんしんの品質であっても、見た目次第では商品価値が生まれません。

アイチョイスでは、食べる人のあんしんを最優先した品質の商品を取り揃えています。
わたしたちがみなさんに自信をもってお届けできるのも、農薬削減に取り組む生産者さんと、きちんとした販売ルートが確保されているからこそ。

それぞれが、食べる人の笑顔を守るため、日々尽力しています。
誰もがあんしんを選択できる未来をつくるために、これからも買い支えていきましょう!

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編集担当あんにん

2025年アイチョイス入協。30代、二児の母。
毎日3食+おやつを欠かさない食いしん坊です。
新商品を見つけたらとりあえず食べてみる派!
ナッツはなんでも好きですが、食塩不使用のものを選ぶようにしています◎