効率よりもいいものを。アイスを製造する久保田食品株式会社に行ってみた!

大人も子どもも大好きなアイス!
アイスってシンプルな材料で作られていそうですが、実は添加物が含まれている商品も少なくないんです。

今回は、食品添加物に頼らないアイスを製造する久保田食品(株)(以下:久保田食品)に伺い、アイス作りにかける想いを取材してきました。

「久保田のアイス」でお馴染みの久保田食品は、高知県南国市にあるアイスメーカーです。
土佐ジローの卵や、高知県産の柚子、苺、すもも、やまももなど果物をまるごと使用したアイスを約40種類製造。

先代の「手間暇を惜しまず」という言葉を信念に掲げ、大手アイスメーカーにはマネできないこだわりの方法でアイスを製造しているんです。

特徴は何といっても「食品添加物に頼らない」そして「手作業」。
効率性を求めるよりも、良いものを食べてもらいたいと、原材料の調達から加工まで一貫体制で行っています。

積極的な営業なし!久保田食品株式会社が有名アイスメーカーになるまで

久保田食品は、甘いものに目がなかった先代の久保田貢一さんが、アイスの卸売業として創業したのが始まりです。

当初はメーカー品を卸すのみの業者でしたが、アイスを自分で作りたいとの思いから、1980年に自社商品の製造へと徐々にシフトチェンジ。

10年ほど試行錯誤して完成したのが、高知名物としても有名な『アイスクリン』でした。

久保田食品のアイスは評判がよく、いろいろな小売店が取り扱うようになりました。

久保田さんは高知県内だけでの販売で十分だと考えていたので、県外へ積極的に営業活動はしなかったそうです。

そんなとき、四国に高速道路が開通したことをきっかけに、高知県を訪れた他県のバイヤーからのオファーが増加。
さらにインターネットでクチコミも広がり、じわじわと全国に名を広げていきました。

現在の売上は、四国以外の都道府県が7割で四国内が3割。
高知県はその3割のうちの7割ほどとなっているそうです。

ロゴマークに隠された秘密

久保田食品のロゴマークといえば可愛らしい「白くま」ですよね。

アイスと言えば氷、冷たい、寒いというイメージで白くまに決定したそうですが、当初は優しい顔のゴリラの案もあったんだとか。

2002年にロゴマークが変わって、現在の白くまは2代目。
2代目の白くまは、商品の種類によって持っているアイスが異なっているんです!

いろいろな商品についているロゴマーク、ぜひ確認してみてください◎

久保田食品株式会社に行ってみた!

効率よりも、いいものと信じているものを

食品添加物の役割の一つに、製造時の効率をよくするものがあります。

久保田食品は、極力食品添加物に頼らずにアイスを製造しているので、果皮が沈みやすかったり、材料がうまく混ざらなかったりと苦労することもたくさん。

ミルク系のアイスは、連続で生産しているとミルクに含まれる脂肪分のかたまりが機械についてしまうので、タイミングを見て機械を止めなければいけません。

「効率よりも、自分たちが作りたいもの、いいものと信じているものを、手間暇を惜しまず作ることを大事にしている。」と社長の武市さんは語っていました。

イチから手作業で加工する素材へのこだわり

『手しぼり柚子アイスキャンデー』は名前の通り、機械を一切使わず手作業で柚子を搾っています。

手で搾るのと、機械で搾るのとでは全く味が異なるそうで、効率よりも味を優先してこの方法を採用しました。

作業が終わるころには腕がパンパンになってしまうそうですよ。

手作業なのは柚子だけではありません。

いちごやすもも、バナナなどの果物は、完熟状態を見極めて手作業でカットを行います。

熟すタイミングに合わせてアイスをつくるので、思い通りに作業を進められないこともあるそうです。

職人の目利きが左右するあずき炊き

『あずきアイスキャンデー』『夢中熱中バニラとあずきの最中』などに使われるあずき餡も久保田食品工場内で炊いています。

商品ごとに砂糖の配合を変えて、糖度ややわらかさを調節しているんだとか。

現在、あずきを炊ける職員は10年選手と30年選手の2名。
配合がわかったとしても、豆が硬かったり、煮崩れしてしまうこともあるので、おいしくあずきが炊けるかどうかの見極めは、最終的に職人技になります。

あずきの状態によって水に浸す時間、炊く時間の調整も必要になるため、一人前になるには相当な時間と経験が必要になるそうです。

社員さんに聞いてみた!

代表取締役社長 武市さん

高知出身の奥さまと結婚したことをきっかけに、高知県に移り住みました。

その後、義父にあたる久保田食品の先代社長の後を継ぐために久保田食品に入社。

好きなアイスクリームは、珍しくてお気に入りの『すももアイスキャンデー』

腰山さん

『すももアイスキャンデー』のクオリティに驚き久保田食品への入社を決意。

主に営業を担当しています。

好きなアイスクリームは、後味のスッキリ感がお気に入りの『焙じ茶アイスクリーム』

中越さん

商品企画・品質保証部 部長
アイスづくりに関する知識が豊富な、生産現場のリーダーです。

溶けかけのバニラアイスクリームがお気に入り。

ぜひ食べて欲しいアイスと人気のアイス

久保田食品で働く70名を対象にアンケートを取っていただきました。
アンケート実施日:2025年3月

すーさん

ぜひ食べて欲しいアイスは何ですか?

1位 バニラアイスクリーム

2位 黒蜜きなこアイスクリーム

3位 手しぼり柚子アイスキャンデー

久保田のバニラアイスは乳脂肪分10%程度で、他社のバニラアイスと比べて5%ほど少なく、濃厚すぎないのが特徴。
バニラビーンズを使用しているので、上品な香りで食べ飽きないという職員が多いようです。

中越さん

すーさん

職員さんの中で人気のアイスを教えてください。

1位 焙じ茶アイスクリーム 

2位 バニラアイスクリーム 

3位 コーヒーアイスクリーム

香ばしさや後味の良さが好きで、私も焙じ茶アイスクリームに投票しました。

焙じ茶やコーヒーは、茶葉や挽いたコーヒー豆を一定時間お釜で煮出して抽出し、ろ過しています。
ご家庭で淹れるような方法で抽出しているので、風味豊かなんですよ。

腰山さん

低価格で提供できる理由

すーさん

原材料にこだわって、手間暇をかけているのに価格を安く抑えられる理由は何ですか?

高知県は日照時間が長く、いろいろな果物が栽培されています。
地元の果物を使って商品作りができることも有利に働いているかと思います。

武市さん

一般的には、機械の維持費や宣伝費などでコストがかかることが多いのですが、久保田のアイスは商品づくり以外にかかるコストが少ないんです。

中越さん

久保田のアイスでは加工済みの果物を使用せず、そのままの果物を購入し、加工を行っています。
そのため、
加工に関してもコストが抑えられています。

腰山さん

組合員さんへメッセージ

すーさん

組合員の皆さまへメッセージをお願いします。

私たちは『素材を活かし、手間暇をかけておいしいものを作る』こと1本でやっています。

ひとつひとつの商品に手間と時間がかかっているんだなと感じていただきながら、いろいろなアイスを食べてもらえたら大変嬉しく思います。

武市さん

「いいもの」は広がっていく

実は、アイチョイスに入協する前から久保田のアイスファンだったすーさん。
友人に「食品添加物が入っていなくて、おいしいのに価格も高くないんだよ!」と紹介されたことがきっかけでした。

先代の久保田貢一さんから受け継いできた信念が支持されて、高知県から全国へとファンを増やし続ける久保田のアイス。

私も家族や友人に久保田のアイスを広めている一人です。

手間暇をかけるアイス作りは、ローカルメーカーだからこそできるこだわり。

「我々は大手メーカーにはなれないし、ならない。」
そう話す職員の方からは、納得していいものを作っているんだという誇りが感じられました。

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編集担当すーさん

2024年アイチョイスに入協。愛犬をこよなく愛する30代。
アイチョイスでは、気になる冷凍食品をついついたくさん注文してしまうので、冷凍庫が常にパンパン!
冷凍庫のスペースを空けるために毎週必死です。
ナッツはチョコレートに包まれたピーカンナッツが好き。