投稿日2023.7.31
取材日2023.6.10
ビオトープ米を育てる「知多の恵みグループ」へ、田植え体験に行ってみた!
2021年にアイチョイスと「知多の恵みグループ」が協力してスタートした、ビオトープ米プロジェクト。
前回の記事では、ビオトープ米について詳しく解説しました。
今回は、みっくすなっつ編集部がビオトープ米の田植え体験に行った際のレポートをしていきます!
目次
ビオトープ米の田植えに行ってみた!
6 月上旬、ビオトープ米を栽培している生産者「知多の恵みグループ」のみなさんと一緒に、田植えを行いました!
ふだん田植え機で苗を植えていますが、今回の田植え体験では手で植えていきます。
田植えのレクチャーをしてくれたのは、代表の杉浦さんと、グループ仲間の青木さん、大岩さん、原田さんの4人。
そして今回は、抽選で選ばれた11組のアイチョイス組合員さんも参加してくれました。
みなさん、初めて参加するビオトープ米の田植え体験にワクワクしている様子◎
知多の恵みビオトープ米の田んぼ
こちらが田植え体験をするビオトープ米の田んぼです。
この田んぼは0.11ha(ヘクタール)ですが、知多の恵みグループ全体のビオトープ米栽培面積を合わせると、9.1haもの広さになります。
そして実はこの田んぼ、他の田んぼにはない秘密が。
それは、田んぼの横に生き物の住処となるビオトープ池が作られていること。
ビオトープ池が作られた理由は杉浦さんのインタビューで詳しくお話ししますね。
それでは田植え体験スタートです!
田んぼの上に糸を張る
まずは、苗の植える場所をわかりやすく区切るために、目安として田んぼの上に糸を張っていきます。
田んぼに対して垂直な糸を張るのがポイントです。
糸を張っているあいだに田んぼをのぞくと、アメンボがたくさん泳いでいるのを発見!
一般的な田んぼよりも生き物が多く、ビオトープ池にはカエルやヘビなど大きな生き物 が集まっているようです。
生き物の住みやすい環境を整えていることがわかりますね!
田植えの手順
自 分たちで苗を植えるまえに、青木さんからお手本をみせてもらいましょう。
まず苗の束を左手に持って、田んぼに入ります。
右手で苗を3束ちぎり、親指・人差し指・中指を使い、泥の層に植えこんでいきます。
区切ったレーンの中に立ち、糸と糸の間に苗を6条ずつ植えていくそう。
6条植え終えたら、うしろに下がって同じ動作を繰り返します。
田植え体験スタート
説明を聞いたあと、みんなで横に並びながら、田植えをスタート!
手のひら1個分の間隔をあけながら苗を植えることが大切です。
みっくすなっつ編集部も少しだけ体験させていただきましたが、事件が起きました。
田んぼに足を入れた瞬間から動けなくなってしまう始末。
また、田んぼの中は思い通りに動けず、キレイに苗を植えられません。
写真のとおり、苗の間隔・場所もバラバラになっています。
苗の間隔がとれていない場合、収穫量が減ってしまうのだとか。
苗を植えることのむずかしさを実感した瞬間でした。
ビオトープ米生産者、杉浦さんに聞いてみた!
「知多の恵みグループ」代表を務める杉浦さん。
ビオトープ米プロジェクトに取り組みはじめて3年間、ビオトープ米の栽培を行う生産者のひとりです。
なんと、知多半島・布土地区にある田んぼの3分の1以上が杉浦農園の畑!
お米を中心に栽培し、その次に出荷量が多いのは大根だそうです。
田植え体験中は、田んぼで転がる子どもたちをみて、やさしく微笑んでいる姿が印象的でした◎
育苗のこだわり
編集部
苗 は、 グループの中で杉浦農園が担当して全員分を育てていますね。
一般的な育苗だと、農薬を使ってカビや雑菌が繁殖しないようにしているんです。
しかし、杉浦農園では「温湯消毒(おんとうしょうどく)」で雑菌の繁殖を抑えています。
田植えをする前の育苗の段階から、化学肥料や農薬を使わずに 育てていますよ。
杉浦さん
※温湯消毒(おんとうしょうどく)・・・お湯を60度まで上げたあと、15分間維持して消毒する方法
化学農薬・化学肥料の使用を抑える
編集部
知多の恵みビオトープ米は、どのように化学肥料・化学農薬を抑えていますか?
知多 のビオトープ米に関しては、ミツバチに影響のあるような「ネオニコチノイド系農薬」は使わないようにしていますね。
また、田植えの前に田んぼの土をならす「代かき」を2回行っています。
2回行うことで除草効果が高まり、農薬の低減にもつながるんです。
初期除草剤は使っているので、まだ完全な農薬不使用ではないですが「特別栽培のネオニコ不使用」という仕様でやらせていただいています。
ほかにも、化学肥料は使用せず「有機JAS」で認証された肥料を使っています。
杉浦さん
ビオトープ池を作った理由
編集部
ビオトープ池を作った理由を教えてください。
昔、手作業で稲作が行われていた時代は、冬にも水を張り続ける「冬みず田んぼ」と呼ばれる形態がありました。
しかし冬に水を張ったままにしておくと、地盤が緩み、耕す時に機械で作業しづらくなります。
そのため、現代では冬には田んぼの水を抜くことが一般的です。
ただそれは人間の都合で、生き物にとっては水がないと生きられないですよね。
そこで「整合性がとれて、生き物と調和できる田んぼ」ってなんだろう?と考えまして・・・。
冬のあいだ、生き物が避難できるビオトープ池を田んぼの横に作ることになりました。
去年さらに、生き物が避難できるスペースを広げましたよ。
杉浦さん
ビオトープ米で環境にやさしい社会をつくろう!
今回は、ビオトープ米の田植え体験についてご紹介しました。
ビオトープ米の田植え体験を通じて、わかったこと。
それは一般的なお米づくりでも大変なのに、さらに手間がかかるということです。
冬に水を張っておくことは、作業効率の観点からむずかしいのが現状。
だからこそ「生き物と人間が調和できる環境」を目指すため、生き物が避難できるスペースを作っていることがわかりました。
生態系を増やしながらお米を育てることの苦労は、計り知れません。
しかし同時に、試行錯誤しながらもビオトープ米を大切に育ててくれる生産者への感謝が深まったのではないでしょうか。
生活にビオトープ米を取り入れることで、環境だけでなく、生き物や人間にとってもやさしい社会が目指せますよ。
ビオトープ米の田植え体験に関する動画はこちら
編集担当あかにー
2023年にアイチョイス入協。沖縄出身の30代。
恋人・フェレット3匹・ハムスター2匹・犬1匹・猫1匹の大家族。
製菓学校卒業後はパティシエやバリスタとして7年勤めていました。
最近はアイチョイスの食材を使ったお菓子づくりにハマり中。
ナッツは、カフェラテと相性抜群のアーモンドが好き。
ビオトープ米の苗はどのように育てていますか?