「ビオトープ米」とは?アイチョイスと考える自然環境を守る取り組み

みなさんは、ビオトープ米をご存じですか?

ビオトープ米は、有機の田んぼを拡げる取り組みとして栽培しているお米です。
 

今回はビオトープ米を知らない方に向けて解説していきますね。

少しでもビオトープ米の良さを知ってもらえるきっかけとなればうれしいです。

ビオトープ米とは

ビオトープとは、自然保護のあり方を示すドイツの概念で、生物が自然な状態で生育している空間です。

また、生物が住みやすいように環境を整えることを指す場合もあります。 

 

ビオトープ米プロジェクトは、お米づくりを通して有機の田んぼ(農薬不使用)を拡げる取り組みです。
有機の田んぼを拡げる取り組みが進めば、自然環境を改善することにもつながります。

さらにわたしたちも安全でおいしいお米を食べることができるといったメリットも。

つまり、ビオトープ米は生き物と人間を守るお米といえるでしょう。 

ネオニコチノイド系農薬に対する懸念

かつての田んぼは自然豊かであり、生き物が多く生存していました。

ところが、時代が変化するにつれて、自然環境に大きな影響がでています。

 

自然環境問題のひとつは、環境汚染につながる農薬の使用です。

農薬のなかで最も危険視されているのが「ネオニコチノイド系農薬」。

 

害虫からお米を守ることができたり、農作業の負担を減らせたりなどのメリットがあるため、広く一般的に使用されています。

 

しかし「ネオニコチノイド系農薬」の使用によって、人の健康、ミツバチ、生態系などへの影響があるのではとの声も。

 

「ネオニコチノイド系農薬」は、昆虫の神経伝達物質である「アセチルコリン」に作用します。

そして「アセチルコリン」は、人間にとっても代表的な神経伝達物質のひとつ。

 

 記憶や学習、さらに子どもの脳の発達に関わっているので、「ネオニコチノイド系農薬」の使用による人間への影響も懸念されているのです。

 

そんな中、私たちが取り組んでいるビオトープ米プロジェクトは「ネオニコチノイド系農薬不使用」の栽培を行っています。

 

農薬を極力使わないビオトープ米を作ることが、生態系および人間にとっても安心できる環境を作り出すきっかけとなるのです。

 

アイチョイスで取り扱う2つのビオトープ米

2020年からはじまったビオトープ米プロジェクト。

 

現在、アイチョイスでは徳島県と愛知県で栽培する2つのビオトープ米を取り扱っています。

 

徳島 ビオトープ米(慣行栽培)

『徳島ビオトープ米』は、2020年にビオトープ米プロジェクトをスタートさせました。

 

お米の品種は、日本で馴染みのある「コシヒカリ」であり、アイチョイスのなかでも低価格で販売しています。

 

低価格で販売できる理由は、大量・一括購入です。

アイチョイスと友好関係にある生協「コープ自然派」が、JA徳島から一括で買い取って、ビオトープ米を保管・精米。

 

アイチョイスだけではなく、他の生協と協力することで、コスト削減を叶えています。

 

また、農薬に関しては2020年から少しずつ農薬を減らしていき、2022年度にはネオニコチノイド系農薬を使わない栽培が実現。

 

しかし『徳島ビオトープ米』は慣行栽培のため、「アイチョイスで多く取り扱っている有機栽培や特別栽培ではないのはどうして?」と疑問に思う方も多いのでは?

 

ビオトープ米でおこなう慣行栽培は、一般の慣行栽培とは異なり

 

[1]殺虫剤・ネオニコチノイド系農薬が不使用

[2]有機質肥料の使用

 

など、安心できる基準のもと栽培しているのが大きな違いです。

 

農薬を使わないことも大切ですが、有機質肥料の使用も、自然環境の向上に必要な役割のひとつ。

 

有機質肥料の使用によって、自然に近い環境づくりと品質UPにつながります。

一般の慣行栽培で作られたお米に比べて、環境にやさしく安心して食べられるのが特徴といえるでしょう。

 

※慣行栽培・・・化学合成農薬や化学肥料を利用した栽培方法。
法律により使用してもよい農薬の種類や回数が定められており、基準となる慣行レベルは地方公共団体が策定しています。
生産地には絶滅危惧種のコウノトリも飛来。パッケージの絵もコウノトリです。

知多の恵み ビオトープ米(特別栽培)

『知多の恵みビオトープ米』は、「組合員さん」「知多の恵みグループの生産者」「アイチョイス」の3者協同で栽培、消費に取り組むお米です。

 

愛知県では2021年から、ネオニコチノイド系農薬不使用の特別栽培でビオトープ米プロジェクトをスタートさせました。

 

お米の品種は「あいちのかおり」で、さっぱりとした味が特徴です。

またビオトープ米を栽培している知多半島の布土地区では、田んぼの近くに愛知用水が通っており、お米づくりに適した環境なのがポイント。
土の粘度が高く、水分保持力に優れているのもお米づくりに最適といえます。

 

ビオトープ米プロジェクトは、生産者やアイチョイスの力だけでは成り立ちません。

 生産者とアイチョイスがビオトープ米を組合員さんへつなぎ、購入してもらうこと。

それがビオトープ米プロジェクトを大きくし、有機の田んぼを増やす近道になると考えています。

今現在『知多の恵みビオトープ米』は、販売当初に比べ収穫量を伸ばし続けています。
収穫量は以下の通りです。

・2021年度 18,000kg収穫・すべて完売。
・2022年度 20,400kg収穫済み

・2023年度 32,400kgの収穫量を計画。

さらに今年度は「無洗米」「精白米」「玄米」の3種類のお米を販売予定。

 

これらの収穫量につながったのは、3者協同で栽培・消費をおこなった結果といえるでしょう。

 

※特別栽培・・・栽培期間中に、化学合成農薬や化学肥料を、一般的な栽培法で育てた同じ作物の50%以下にしたもの。
アイチョイスお米や野菜のパッケージの「特別栽培」という表示が目印です。

知多の恵みグループ (左)杉浦さん(右)青木さん

生き物と人間が共存できる社会を実現しよう

ビオトープ米づくりをおこなうことが、有機栽培の田んぼを増やす近道です。

農薬による除草や害虫駆除によって、今、日本の様々な場所で自然環境が崩れかけています。

 

ビオトープ米を通して「生き物と人間が共存できる社会」を目指していきましょう。

アイチョイスでは、これからもビオトープ米の発信を行っていきます。

 

2023年6月、ビオトープ米の田植え体験を行いました。

レポートはこちら:ビオトープ米を育てる「知多の恵みグループ」へ、田植え体験に行ってみた!|つくる人のはなし|みっくすなっつ アイチョイスのWEBマガジン (ichoice-coop.com)

 
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編集担当あかにー

2023年にアイチョイス入協。沖縄出身の30代。
恋人・フェレット3匹・ハムスター4匹・犬1匹の大家族。
製菓学校卒業後はパティシエやバリスタとして7年勤めていました。
最近はアイチョイスの食材を使ったお菓子づくりにハマり中。
ナッツは、カフェラテと相性抜群のアーモンドが好き。