膨張剤とは?食品添加物としての役割や安全性、表示の見方をわかりやすく解説

食品添加物として表示される「膨張剤」。
お子さんが食べるおやつやパンに含まれていると聞くと、その安全性や中身が気になる方も多いのではないでしょうか。

膨張剤はケーキやドーナツをふんわり膨らませるために使用される食品添加物です。
本記事では、膨張剤の基本的な役割から安全性、表示の見方までわかりやすく解説します。

まずは膨張剤の基本について、その働きと種類を見ていきましょう。

膨張剤の主な役割は食品を膨らませること

膨張剤とは、生地に混ぜて加熱すると炭酸ガス(二酸化炭素)などの気体を発生させ、生地を膨らませる食品添加物です。

ベーキングパウダーとも呼ばれ、重曹(炭酸水素ナトリウム)などが水や熱と反応して気体を発生し、その泡が生地内部に無数の穴を作ることで、ケーキやパンに柔らかな食感を与えます。

一般的なパンの多くはイースト(酵母)の発酵による炭酸ガスで膨らませており、膨張剤は使用されません。
発酵を待たず手軽に膨らませたい、焼き菓子などで膨張剤が活躍します。

ベーキングパウダーと膨張剤の違い

家庭でおなじみのベーキングパウダーは、主に重曹に酸性の成分(酒石酸やリン酸塩など)とデンプンで構成され、加熱時に安定して炭酸ガスを発生させるよう作られたものです。

食品表示上は、ベーキングパウダーなど複数成分を含むふくらまし粉もまとめて「膨張剤」と表記。
ベーキングパウダーは膨張剤の一括名として位置づけられています。

膨張剤に使われる主な成分と種類

膨張剤には、1つの成分だけで膨らませる「単体型」と、複数成分を配合した「複合型」の2タイプがあります。

 代表的な種類成分働き
単体型重曹炭酸水素ナトリウム熱や酸と反応して二酸化炭素ガスを発生させ膨らませる。
幅広い用途で利用されている。
炭酸水素アンモニウム炭酸水素ナトリウムより低温でガスを発生させる。
サクサクとした食感を生むのに向いている。
 複合型ベーキングパウダーグルコノデルタラクトン低温で反応することが少なく均一に発泡しやすい
硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)炭酸水素ナトリウムとの反応が緩やかでガスの発生が持続しやすい

単体で使われる膨張剤には、重曹(炭酸水素ナトリウム)や炭酸水素アンモニウムなどがあります。

重曹は加熱によって二酸化炭素を発生し、生地を膨らませる伝統的な膨張剤。
一方、複合的な膨張剤の代表がベーキングパウダー(合成膨張剤)で、重曹に酸性剤(酒石酸水素カリウムやリン酸塩など)と分散剤(デンプン)を混合した製品です。

酸性剤にはクエン酸やリン酸、酒石酸などが用いられ、重曹と反応して炭酸ガスを発生させます。

ベーキングパウダーの中にはミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)などアルミニウム化合物を酸性剤として含むものもありますが、近年は家庭向けにアルミニウム不使用を謳った製品も増えています。

膨張剤の安全性について

膨張剤を含む食品添加物の安全性はどのように確保されているのでしょうか。
不安を感じるポイントを順番に見ていきましょう。

膨張剤の厚生労働省が定める基準

食品添加物は国の審査を経て指定され、使用できる食品の種類や最大使用量が厚生労働省によって細かく基準設定されています。

アルミニウムを含む膨張剤(ミョウバンなど)については、菓子類やパンへの使用量がアルミニウムとして2mg/kg以下と規制され、みそへの使用は禁止。

このように公的な基準に沿って添加物が使われているため、通常の食生活で膨張剤を摂取しても過剰摂取になることなく安全性が保たれているのです。

膨張剤の体への影響は?

適切に使われている範囲では、膨張剤が健康に悪影響を及ぼす可能性は極めて低いとされています。

膨張剤はごく微量を食品に加えるものですし、調理過程で発生した二酸化炭素は気泡となって抜けていき、残った成分もごくわずか。

一部で「アルミニウムを含む膨張剤は認知症の原因になるのでは?」と心配する声もありますが、アルツハイマー病との関連性は現時点で明確な根拠がないと報告されています。

しかし、アルミニウムは神経毒性を持っているため、脳内に入った場合のリスクは否定できません。
日常的な摂取は避けるのが好ましいといえるでしょう。

膨張剤が使われている食品の例

膨張剤は主にお菓子や一部のパン製品など、粉ものの食品に幅広く使われています。
お子さんが好きなおやつ系食品にも含まれることが多いので、いくつか代表的な例を見てみましょう。

こうした食品には、生地を膨らませるために膨張剤が配合されています。
一方で、通常の食パンや菓子パンの生地そのものはイースト発酵で膨らませている場合が多く、添加物の膨張剤は使われていません。

食品添加物の膨張剤が使用された商品パッケージの原材料表示を見ると、「膨張剤」と記載。

場合によって「ベーキングパウダー」や「ふくらし粉」と書かれていることもありますが、いずれも膨張剤の意味です。

食品添加物の膨張剤に関するよくある質問

添加物で膨張剤とは何ですか?

膨張剤とは、食品を膨らませる目的で使われる食品添加物です。

とくにイーストを使わない場合のケーキやパンの生地を短時間で膨らませたいときに重宝。

加熱によって発生する炭酸ガスの力で生地をふっくらと膨らませます。
お菓子作りには欠かせない存在です。

食品添加物のワースト3は?

「ワースト3」という明確な定義や公式ランキングはありません。

日本で使用が許可されている添加物は、いずれも安全性が確認されたものだけです。

いずれの添加物も定められた範囲内で使われていれば過剰摂取には至らず安心して利用できます。

ベーキングパウダーは膨張剤ですか?

ベーキングパウダー自体が食品の製造過程で使われれば「膨張剤(ふくらし粉)」という食品添加物として扱われます。

ご家庭でお菓子作りに使うベーキングパウダーも、中身は炭酸水素ナトリウムなどの膨張剤成分なので、用途としては同じものです。

膨張剤の原料は何ですか?

膨張剤の原料は、主に炭酸ガスを発生させる成分として、炭酸水素ナトリウム(重曹)や炭酸水素アンモニウムなどが使われます。

重曹と組み合わせて使う酸性の成分には、酒石酸(酒石酸水素カリウム)やクエン酸、リン酸塩類などです。

食品添加物の膨張剤の安全性をしっかり確認して、安心な食生活を!

膨張剤はお菓子やパン作りに欠かせない添加物ですが、公的な安全基準に従って使われており、適量であれば健康への心配は不要です。

一方でベーキングパウダーの中に含まれているアルミニウムには、体への影響を懸念する声も。

膨張剤に関する安全性をご自身の目でしっかり確認し、お子さんにも安心なおやつやパンを選んであげてくださいね。
毎日の食生活を笑顔で楽しみましょう!

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