りんごの色むらはおいしさの証?有限会社エムエスケイに行ってみた!

りんごやぶどうの収穫量が全国上位の長野県。
有限会社エムエスケイは、長野県内で農薬に頼らずに生産された農産物を中心に、生産指導・取り扱いを行っている会社です。

今回は社長の畑さんに、長野県内の生産者の方々をご案内いただきながらインタビューしました!
果物のプロフェッショナルである社長の素顔に迫ります。

病気の治療も日常的な食生活も、健康に生きるためにはどちらも必要で、源は一緒という考え方である、「医食同源」。
約40年前に「医食同源」に着目し、エムエスケイの先駆けとなる会社を立ち上げたのが、先代の社長でした。

こだわりを持って栽培を行う地域の生産者さんの募集を始めたことがきっかけで、エムエスケイの農産物の卸事業がスタート。
そのときに農薬節減に取り組むぶどうの髙田さんとも知り合ったそうですよ。

現在社長を務める畑さんは、お兄さまの病気を通じて、健康を維持するために食べ物は重要であり、安全でいいものを消費者に届けたいとの思いが強まったんだとか。

エムエスケイでは、りんごやぶどうを中心とした果物や、野菜などを取り扱うだけでなく、実際に畑さんもりんごやぶどうを栽培!
営農指導まで担っています。

有限会社エムエスケイに行ってみた!

今回は、畑さんが栽培を行うりんご畑を見学させていただきました。
栽培している品種は、サンふじ・シナノスイート・紅玉。

栽培のこだわりは「超密植栽培」と呼ばれる栽培方法です。
高度な栽培技術を必要としないため、初心者でも栽培しやすいんだとか。

生産効率がよく、収穫にかかる時間も短縮できるため、世界的に主流となっており、日本でも普及が推進されている栽培方法なんです。

「1,000平方メートル当たり2日くらい収穫時間が短縮できると思うよ。」とおっしゃる畑さん。
業務が多忙の中でも、りんごの栽培に力を入れられるのはこういった工夫があるからこそですね。

葉とらずりんごって?

畑さんの栽培の特徴は「高密植栽培」だけではありません。
りんごの味にもこだわり、「葉とらず栽培」を行っています。

通常は、収穫前にりんごの色づきをよくするために葉を摘み取りますが、「葉とらず栽培」ではこの作業を行いません。
見た目よりも、味を重視した栽培方法だといわれているんですよ。

光合成でつくられた養分がギュッ!

りんごは葉で光合成が行われることで、ソルビトールという成分を生成。
その後、葉からりんごの果実内に運ばれます。

ソルビトールは果実の中で、果糖やショ糖に変換されるので、食べたときに「甘い!」と感じられるのです。

「葉とらず栽培」では、多くの葉っぱで光合成を行えるので、その分甘みの強いりんごになります。

色むらがおいしさの証?

通常の栽培で葉っぱを摘み取るのは、りんごの色づきをよくするため。
太陽の光を浴びた部分が赤く色づきますが、「葉とらず栽培」では果実が葉の影に隠れるため、その部分だけ赤くならず、色むらが生じてしまいます。

真っ赤に色づいたりんごではなく、淡い赤色の部分があったり、黄色や緑色の部分が残ったりするのが、「葉とらず栽培」の見た目の特徴です。

無袋栽培でさらに甘みUP!

「サンふじ」と「ふじ」の違いをご存知ですか。
下記に主な違いをまとめました。

 ふじサンふじ
品種ふじふじ
栽培法法1個ずつ袋をかけて栽培袋をかけない
見た目真っ赤に色づく色むらがある
甘みと酸味がある甘みが強い
特徴貯蔵性に優れている蜜入りが多い

袋をかけることで、見た目や形などが整い、リスクを抑えて出荷可能です。
しかし、畑さんは「見た目よりも味にこだわりたい」と、袋をかけない栽培方法でサンふじを育てています。
安全性・おいしさを追求するために、努力を惜しまない姿が印象的でした。

畑さんに聞いてみた!

畑(はた)さん

「健康は食から」を理念に掲げ、農薬に頼らない農産物の卸、栽培指導を行う有限会社エムエスケイの社長。

栽培を自分で行っているからこその視点を活かした、栽培指導が強みです。

栽培を始めたきっかけは?

もえぞー

なぜ販売だけでなく、栽培も会社で行おうと思ったのですか。

きっかけは、農薬に頼らないりんごを求める消費者が多く、このままでは生産量が足りないと感じたからです。

実際に栽培してみて、生産者との距離が縮まり、生産指導もスムーズに行えていると感じています。

農薬に頼らない栽培を、これからの世代にも受け継いでいきたいですね。

畑さん

高密植栽培って?

もえぞー

高密植栽培について教えてください。

ふじは70センチ、シナノスイートと紅玉は50センチの間隔で植えています。

本数が必要な分、初期費用がかかりますが、畝間が広いので、風通しがよく、日当たりもいいです。

収穫もしやすいですよ◎

畑さん

組合員へのメッセージ

もえぞー

組合員さんへのメッセージをお願いします。

りんご一つひとつに栄養が行くように、葉とらず栽培で栽培しています。
色形よりも味で違いを感じてほしいです。

これからも、生産者とともに農薬に頼らない栽培に努めていきますので、食べて応援してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします。

畑さん

生産者密着型で極力農薬に頼らない栽培を支えたい

エムエスケイの強みはなんといっても、実際に栽培を行っていることです。
生産者にとって、栽培の悩みを相談できるのはとても心強いはず。

とくに農薬に頼らない栽培では、相談できる相手が少なく、個々で試行錯誤しながら育てることになってしまいがちですが、エムエスケイはそういった不安を払拭してくれます。

今回の取材を通して、畑さんは一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションを心掛けているように感じました。
生産者さんの想いの詰まったさまざまな農産物を、これからも多くの消費者のもとへ届けていただきたいです。

エムエスケイのりんごやぶどう、栗は毎年8月ごろから順次カタログで紹介しています。
ぜひ食べてみてくださいね!

アバター画像

編集担当もえぞー

2022年アイチョイス入協、30代、夫と2人暮らし。
家庭菜園歴8年目で現在、有機栽培に挑戦中です!
前職では農家さんを相手に野菜の栽培指導をしていました。
ナッツは塩茹でした落花生が大好き♪