目指せいちご栽培日本一!大保さんのいちご農園に行ってみた!

今回は、熊本県でいちごを栽培する株式会社だいほ果実(以下:だいほ果実)の大保幸弘さんにお話を伺いました。

農薬の使用回数を減らし、愛情をこめていちごづくりに取り組む大保さん。
特別栽培ならではの苦労や、いちごへかける思いとは?

こだわりのいちごづくり、その舞台裏に迫ります!

自然豊かな熊本県玉名市天水町。
大保さんは生まれ育ったこの町で、お父様の代からのいちご栽培を引継ぎました。

いちごは、春先に苗を育てはじめ、冬から春にかけて収穫を行う作物です。
また、お祝いなど特別な場面に食べられることが多いので、見た目の美しさもとても重要。
そのため、病害虫対策として、一般的に農薬の使用回数が多くなる傾向があります。

しかしだいほ果実では、農薬の使用回数を大きく減らし、特別栽培でいちごづくりに取り組んでいます。
使える農薬の種類や回数に制限があるため、栽培には高度な技術と工夫が求められます。
その栽培の難しさは想像に難くありません。

大保さんは20年の歴史を持ついちご農園で、先代が守ってきたものを大切にしながら、おいしいいちご栽培のために日々挑戦しつづけているのです!

大保幸弘さん

就農7年目。
会社員経験を経て、お父様のあとを継いでいちご農家に転身しました!

「さかもとふるーつ」の坂本侑平さんとは、同じ町で育った子ども時代からの先輩後輩の関係。

坂本さんとはいつも、仕事のことや目標について話し合っているそうです!

だいほ農園へ行ってみた!

県内有数の規模を誇るだいほ果実

現在、だいほ果実では、1.6haのいちご農園を管理しています。
毎年20aずつ圃場を拡大しており、7年連続で規模を拡大し続けているとのこと。
ー年間で出荷するパック数は16万パックにも上ります。

「目標は3haまで圃場を拡大し、日本一のいちご農家になることです!」

と話す大保さん。
国内の個人経営のいちご農家の平均的な栽培面積が0.2~0.3haほどであることを考えると、だいほ果実の現在の規模の大きさと、目指す目標がいかに高いかがよく分かりますね。

栽培している品種は「ゆうべに」と「恋みのり」

だいほ果実では「ゆうべに」「恋みのり」の2つの品種を栽培しています。

「ゆうべに」は、およそ10年間の研究の末、2015年に熊本から誕生した品種です。
芳醇な香りと瑞々しい食感が特徴で、甘味と酸味のバランスが絶妙!

「恋みのり」は熊本県で育成された品種を親に持ち、熊本県内で広く普及した品種。
糖度・酸度・香りがいずれも高く、大玉で食べ応えがあります。
果実がしっかりしているので、傷みにくく、収穫後も形が崩れにくいという特徴も。

土地と品種の相性について

熊本県玉名市天水町は、1年を通して温暖で、日照時間も豊富な地域。
この気候が、いちごの栽培にとって理想的な環境だといわれています。

しかし、近年は温暖化により気温が高い日が続くため、年々、定植の時期を遅らせているのだとか。
このように、その時々の環境にも対応しながら、細やかな管理を怠らないことも、おいしさの秘訣のひとつ。

また、同町内には「尾田の丸池」と呼ばれる湧水地があります。
この池から流れる水は、「平成の水百選」にも選ばれており、きれいで安定した水質が特徴。
だいほ果実では、この名水をいちごの栽培に活用しています。

地元にゆかりのある品種を、いちごの育成に適した土地で丁寧に育てる。
土地と品種の相性を大事にすることで、よりおいしく、質の高いいちごを育てることができるんですね。

農薬を減らしていちごを栽培する難しさ

大保さんは、主に下記4つの害虫対策を行うことで、使用する農薬の量を減らすだけでなく、ネオニコチノイド系農薬も使わずにいちごを栽培しています。

これら4つの対策の中で、天敵農法では害虫の天敵となる虫たちをハウスに放すタイミングの見極めが特に重要となります。

まずハウス内を消毒し、害虫がいない状態をつくってからいちごの苗を植えます。
そして、気温がある程度高い時期に天敵を放ち、繁殖させるのだそう。

このように、スケジュールを立てて計画的に防虫対策を行うことで、天敵農法の効果を最大限引き出し、農薬を減らした栽培を可能としているのです。

天敵農法について詳しく知りたい方は、「虫で虫を撃退!?天敵農法でピーマンを作る「かめのこ農園」に行ってみた!」の記事も読んでみてくださいね。

おいしいいちごの秘訣

だいほ果実では、いちごを土耕栽培という方法で育てています。
観光農園などでよく見かける、棚の上でいちごを育てる高設栽培とは違い、地面の土に直接植える栽培方法です。

高設栽培には、しゃがまずに栽培ができるため体への負担が少なく、地面から離れていることで土壌由来の病害虫が付きにくいというメリットがあります。

それでも大保さんが土耕栽培にこだわるのは、「おいしいいちごを育てたい」という思いから。

土に直接根を広く張ることで、土壌の豊かな養分を吸収し、甘みがのったおいしいいちごをたくさん収穫できるんです。

もちろん、腰やひざへの負担は大きく、手入れも大変。
それでも、大保さんは手間を惜しまず、休日にも圃場へ足を運び、ひとつひとつ丁寧に育てています。
その手間と想いが、いちごの甘さやおいしさにしっかりと表れているのです。

大保さんに聞いてみた!

いちご栽培におけるコンセプト

ちえまる

いちご栽培におけるコンセプトは何ですか?

誰でも手が届く、それでいておいしいいちごを栽培することです。

継続して購入してもらえるように、安定的においしいいちごを供給することも大切だと考えています。

大保さん

いちご栽培で大変なこと

ちえまる

いちご栽培で大変なことは何ですか?

いちごは栽培に1年ほどかかります。
期間が長い分、定植や施肥など作業スケジュールに気をつかう毎日です。

慣行栽培では農薬を何回も使いますが、節減栽培ではそうはいきません。
とくに害虫対策として天敵農法や粘着シート、防虫ネットなどきめ細やかな配慮が必要になります。

うちは土耕栽培なので、観光農園などで目にする高設栽培と違って労力がとても必要で、栽培も難しいです。

ただ、土耕栽培は根の張りが違うため、甘みと糖度がのったおいしいいちごが多く採れるんですよ。

体が動くうちは、土耕栽培で頑張ります!

大保さん

さかもとふるーつの坂本さんについて

ちえまる

大保さんにとって、さかもとふるーつの坂本侑平さんはどんな存在ですか?

自分たちの周囲には若い農家は結構多いんですが、本気で取り組もうと考えている人は貴重な存在だと感じています。

モチベーションを高く持っている若手が少ない中で、頑張っていきたいと思っている僕の姿勢を侑平くんは気に入ってくれているんだと思いますね(笑)

侑平君は、自分に「農業をがんばっていこう」と思わせてくれたきっかけです。
いつも相談にのってくれて、兄弟のように頼もしい存在ですよ。

大保さん

大保さんの新たな挑戦

ちえまる

栽培する上での新たな挑戦はありますか?

7年連続で、毎年20aずつ圃場を拡大しており、現在は1.6haの圃場を管理しています。

最終的には、圃場を3haくらいまで拡大するのが目標です。

最近は土壌環境を整え、いちごを病原菌から守る作用も期待できる土壌菌を導入しました。

日本一のいちご農家を目指して、新たな挑戦を続けています。

大保さん

ちょっとしたご褒美を日常へ

いちごの特別栽培は、決して簡単ではありません。

使用できる化学的肥料や農薬に制限があることで、慣行栽培に比べると手間や時間もかかります。
定植から収穫まで、気が抜けない仕事です。

しかし、大保さんは言います。
自分が生産したいちごで、ちょっとした贅沢を日常へとり入れてもらえたら、と。

たとえば、「今日は、ご褒美にあのいちごを食べよう」と、商品を手にとってもらえたら、大保さんにとっては何よりのやりがいに。

購入する側としても、真心を込めて生産されたいちごに出会えたら幸せですよね。

大保さんの栽培スキルといちごにかける情熱を応援しつづけ、これからもおいしくて安心して味わえるいちごを楽しみたいものです。

大保さんが育てた貴重な特別栽培のいちごを、みなさんもぜひご賞味ください。

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編集担当はらりん

2019年アイチョイス入協。40代、中学生と小学生の二人の母。
ネット限定商品を見て、お得でおいしいものをゲットするのがひそかな楽しみ。
イチ推しの商品は、クチコミ投稿せずにはいられません。
コーヒーとチョコ大好きの私はヘーゼルナッツ派。